93.ゆっくり少しずつ ページ45
ミ「二人とも泣きすぎなんだよね！」
緑「いや先輩、僕と同じくらい鼻水も涙もすごかったじゃないですか…！？」
ギク、と先輩は固まる。
学校終わり、たまたま僕と先輩は立ち話をしてた。
『デクさん！！ルミリオンさん！！』
そこに現れたのがAちゃん。
最初はびっくりして…戸惑ったけど、彼女は話してくれた。
謝ってばかりで、お礼をたくさん言ってなかったこと。
変わりたいこと。
本当はずっとエリちゃんと一緒に生きていきたいんだ、ということ。
涙をこぼしながら必死に伝える彼女は、その歳に似合った子どものように、見えて、……僕は…
＿＿すごく嬉しかった。
以前とは違う自分になりたいって言ってくれた。
それだけで、僕は…＿＿。
Aちゃんの話で勢い余った僕は彼女を抱きしめて、外側から先輩がひっついて……三人でしくしく、というよりわんわん泣いてた。
ミ「あ、あれは……目がゴミに入っただけだよ！！」
緑「え…その言い訳ちょっと無理がありません！？てか目がゴミに…大事故になってるじゃないですか！！」
はっはっは！と鼻水すすりながら高笑いする先輩には説得力がない。
「ふふふ…、あはは。」
目尻をほんのり赤くして、遠慮もなくなにもないただ純粋に
やわらかく笑うAちゃん。
緑「…はは、」
じわりときて慌てて目をこすった。
「でもね、わたし…大丈夫かな。」
ミ「何が？」
少し不安そうに告げる。
「…ちさき…は、わたしは"壊れてる"って言ってた。」
僕と先輩はまた静かに耳をかたむけた。
「きっと、それは本当なの。わたしは、壊れちゃってるから…。だから……きっとすぐには変われない。」
顔を背けてうつむくAちゃんの手をとる。
…君のことだから、申し訳ないだとか思ってるんだろうな。
緑「…大丈夫だよ、Aちゃん。」
先輩が彼女の肩に手を置いた。
君が"変わりたい"と思ってくれたことこそ大きな一歩だ。
緑「＿＿ゆっくり、少しずつでいいんだ。君には僕らがいる、エリちゃんがいる。もうひとりで何かを背負う必要も、我慢する必要も、ないんだよ。」
ひとりじゃないんだよ。
Aちゃんの赤い瞳が少し揺れて、ぐっと何かを堪えると…また笑った。
「＿＿＿＿ありがとう、ヒーロー。」
ああ…よかった。
君が、＿＿笑ってくれて。
＿＿
＿＿＿＿
少女はまた一歩、未来へ踏み出した。
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Wolf@元フェアリー(プロフ) - めちゃくちゃ感動して静かに泣きました･･･累計で4回くらい泣いたと思います･･･素敵な作品をありがとうございました！ (3月21日 23時) (
レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 号泣しちゃいました…リミオさんと爆豪くん惚れちゃうわぁ〜！ (2023年2月1日 10時) (レス) @page50 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - やぎさん» コメントありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでいただき、本当に嬉しいです！(*^^*) (2022年11月21日 23時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 主様〜😭やばすぎですー目から滝が…こんな最高な作品を作ってくれてありがとうございます😭 (2022年10月14日 16時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでいただき、本当に嬉しいです！(*^^*) (2022年9月4日 23時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年2月27日 23時
