83.かっこいいよ ページ35
腕をがしりと掴まれてぐいぐい引っ張られる。
轟「おい！」
「ヒーロー科のお坊ちゃんは黙ってろよ！」
もう一人がしょーとさんを突き飛ばす。な、なんでこんなことするの？
「しょーとさん…！」
轟「おまえら急に何だ。」
顔をしかめた。
「むかつくんだよ。おまえらみたいなただ"個性"に恵まれたヤツが…」
薄暗い廊下はどんどん空気が張りつめていく。
「それに今はNo.1ヒーローの息子だもんなぁ？」
轟「＿＿」
肌がぴりぴりする。
「やっぱ家がそういうもんだと幸せだな。地位も金も人望も、何の努力も要らねぇじゃ＿」
その瞬間。
掴まれてた腕を乱暴に振り払って、その背中に精一杯たいあたりした。
「っでぇ…！！」
お兄さんが倒れて、しょーとさんがちょっとだけ驚く。
「…ちがうよ、」
わたしは、知ってる。
必死に、ヒーローになろうとする人たちを見た。わたしたちを助けようと戦った人たちがいた。
「ちがうよ、たくさん努力してる…！痛くても苦しくても努力してる…！しょーとさんだって！！」
許せない。なんにも知らないくせに。
轟「…、」
血の滲む努力をしてることだけは知ってる。それだけは、知ってるよ。
「いちいちうるせぇな！！」
掌がとんでくる。目をぎゅっと閉じた。
轟「いい加減にしろ。」
ふわり、冷気を感じる。
目を開けたら寸前でその手は止まってて。
「ハッ、ご自慢の"個性"でも使うのかよ？」
轟「別に俺はそれでもいいぞ。」
いつの間にかそばにいるしょーとさんが受け止めてくれてた。睨みに怯んだ相手が腕を振り払って二人のお兄さんは行ってしまった。
「…ごめんなさい。」
轟「？、何でおまえが謝んだ？」
「あの人たち、」
轟「ただのヒーロー科いびりだろ、おまえが気にすることじゃねぇ。」
…と、しょーとさんが気づいたようにわたしの手首を指さす。
轟「全力で振り払ってたからな、そんときに切れたんだろ。」
「は、はい。」
しゃがんでポケットから絆創膏を取って、手を差し出すよう言ってきた。
「わあ、しょーとさんの瞳やっぱりきれいだね。」
轟「…傷痕付きだけどな。」
なんだか刺のある言葉だなあ。
「…痛い？」
轟「！」
わ、さらさら？してる。
「へへ、勇者みたいでかっこいいよ。」
その肌をさすると目が見開く。
轟「…ふは、おまえ変なやつだな。」
「えっ」
小さく吹き出すように笑った。
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Wolf@元フェアリー(プロフ) - めちゃくちゃ感動して静かに泣きました･･･累計で4回くらい泣いたと思います･･･素敵な作品をありがとうございました！ (3月21日 23時) (
レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 号泣しちゃいました…リミオさんと爆豪くん惚れちゃうわぁ〜！ (2023年2月1日 10時) (レス) @page50 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - やぎさん» コメントありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでいただき、本当に嬉しいです！(*^^*) (2022年11月21日 23時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 主様〜😭やばすぎですー目から滝が…こんな最高な作品を作ってくれてありがとうございます😭 (2022年10月14日 16時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでいただき、本当に嬉しいです！(*^^*) (2022年9月4日 23時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年2月27日 23時
