5.たすけて ページ6
『ハッ…ハァ、ハァ…！』
走る
走る
走る
暗い、ここがどこかわからない。
足がいたい、胸がくるしい、でも行かなきゃ。
＿＿＿きっとたすけてくれる。
『"ヒーロー"…！』
前に、一度だけここから出れたことがあった。ずっとずっと考えてた。
どうやったらここを出られるのか、どこから出られるのか、どうやってだしぬくのか。
何度もあの"痛い時間"を耐え抜いて廊下をつれまわされる度に出入口がないか逃走ルートっていうのを探した。
ぜったいに逃げてやる。
エリを安全な場所へ…エリが安心して、笑える世界が欲しかった。
だけど、逃げ出したあとは？
外に出られたとしてもあの男はきっとわたしたちを捕まえにやって来る。
こどもふたりの力じゃとても逃げきれない、きっと連れ戻される。
そこでわたしに覚悟をあたえたのが、本や雑誌で、昔テレビで見た……"ヒーロー"だった。
"困ってるひとや傷ついてるひとを助ける＿＿"
"ヒーロー"が、きっとたすけてくれる＿＿！！
『、ハァ…！』
エ『おね、ちゃん…どこいくの？』
いまよりもまだ小さいエリを抱えて必死にはしりつづけた。
後ろから足音が近づいてきてる、手をのばしてわたしたちを連れ戻そうと追ってくる。
いや
いやだ
いやだ
もどりたくない
『明るい…！！』
うすぐらい路地にいろんな音がはいってくる。
＿＿＿だれか…！！だれか…！エリを…！
足を踏み出して大きな世界へ飛び出した。
『おわッ！』
『わッ…』
男の人にぶつかってしりもちをついた。
『うわ、大丈夫か！？』
『おい何してんだよ〜まだ見廻り終わってねぇだろー。』
人がたくさん行き交う街中。それに…この人たちは＿！！
『あ、あの、ぁ…』
うまくしゃべれない、たすけを呼ばないと、
『どうし…って傷だらけじゃねーか！』
『包帯だらけ…早く上司んとこ連れていこうぜ。』
見たことがある、"コスチューム"っていうのを着てるヒーロー。
『た…たすけて、ください…』
いきが苦しい、汗がとまらない。
ひっしに声を震えるのどからしぼりだしたのを覚えてる。
『＿＿＿A』
ビクリと体が揺れる。
治『駄目だろう、こんな所まで走ってきて。』
カラスのようなマスクをつけたあの男が、そこにいた。
腕のなかのエリをつよく抱きしめて目の前の"ヒーロー"のうしろへ隠れた。
『たすけて…！！！』
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度！と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます！ (2月12日 14時) (
レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳？...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！読んでいただいて、嬉しいかぎりです！ (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか？それくらい感動しました！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました！ (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年1月7日 12時
