28.岐路に立って帰路を断つ ページ29
__少女は岐路に立つ。
救けに来てくれたヒーローたち
圧倒的な力を持った支配者
救かる道と救からない道
いろんな感情が短時間の内に溢れたが、彼女の答えはとっくに決まっている。
__少女は決断した。
「ここでこのお兄さんと一緒に救けを待って。いい?絶対に離れたりなんてしちゃだめだよ、なにがあってもお兄さんのそばを離れないで。」
向き合うふたりは見つめ合う。
エ「え…?え、??おねえちゃんは?」
…__
「わたしは…行かなきゃ。」
エ「な…なんで!?」
「__エリ。」
有無を言わせない力強い声。
「__わたしのお願い、聞いてくれないと…」
エリにとっての"絶対"は治崎ではない。
治崎が恐怖と力で支配しているとしても、Aはエリにとって"唯一無二"の心の拠り所だ。
物心ついた時からずっとそばにいてずっと支えてきた__Aである。
それをこの少女は理解していた、そしてそれをも利用する。
「エリとはもう二度と話さない。」
重たく冷たい声は揺るがない。
エ「…え…?」
頭をがつんと殴られたような衝撃が彼女をおそった。
「あなたはここに残って、あの男はわたしに任せて。」
そうして少女は、自分の帰路をも断った。
__
___
こんなんじゃ…あの男と同じ。
わたしに"嫌われる恐怖"を利用してエリをここに留まらせる。
でもそれであなたが救われるのなら__
エ「やだよ…ずっと、一緒に居たいよ…」
大きな瞳に薄い膜がはって涙がつのってく。
ぎゅっと抱きしめた。
まるで放さないよっていうみたいに。
安心させるみたいに。
でも、正真正銘…これが最後だ。
「わたしも…」
ゆっくりと体を離す。
「___ずっと一緒にいたかったよ。」
ポロリ___一筋、涙が滑り落ちた。
立ち上がり、元来た道へ走り出す。あの子はわたしに手を伸ばした。
エ「やだ!!やだ!!おねえちゃん!!!」
ミ「エ、リちゃん…!君まで行っちゃダメだ…!!__Aちゃん!!!」
ああ、よかった。
信じてよかった。
ヒーローはいた、ヒーローはいたんだ。
エ「いかないで…!!おねえちゃん!!!」
あの子の悲痛な叫びが聞こえる。
聞いたことがないくらい大きな声だった。
わたしのこと嫌いになってもいい、にくまれたっていいよ。
でもその代わり、
エ『えへへ、おねえちゃん〜』
どうか笑顔でいてね。
1753人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度!と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます! (2月12日 14時) (レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳?...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!読んでいただいて、嬉しいかぎりです! (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか?それくらい感動しました! (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました! (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:pino | 作成日時:2020年1月7日 12時