Four Season〜2nd〜

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｢へぇ……“ギヴン”か｡素敵な名前だね！いいと思う！｣


帰宅後､正式なバンド名が決まり､これからもライブをして行きたいということを伝えると､Aは嬉しそうに笑った｡


｢それで､この間のライブ｡春樹さんが映像持ってるんだ｣

｢え？｣

｢ライブを企画してくれた人が春樹さんの知り合いで､ライブの映像撮ってくれてたみたい｡後でデータ送ってくれるって｣

｢買う｣

｢え？｣

｢その映像､言い値で買う｣


笑顔から一変､Aは真剣な顔で指を組んで､所謂ゲンドウポーズでボソリと呟いた｡


｢別に買わなくてもいいんじゃ……｣

｢ダメ！初ライブの映像って貴重なんだよ！？
それをメンバーでもない私が貰うなんて､お金払わなきゃいけない案件なんです！！｣

｢A､大袈裟……｣


その後､タイミング良くかかってきた春樹からの電話で､Aは開口一番こう言った｡


｢いくらですか！！｣

《え！？何が！？》









＊＊＊＊＊＊

｢｢｢｢｢じゃんけんぽん！｣｣｣｣｣


期末テストも終わり､あとは夏休みを待つのみとなったある日の昼休み｡
教室のベランダで輪になって座り込んだA達は､買い出しジャンケンによって敗者となった上ノ山にそれぞれ買い物を頼んでいた｡


｢俺焼きそばパン！｣

｢おにぎりならなんでもいいぞ｣

｢私はミルクティー！冬ちゃんは？｣

｢んー……お茶｣

｢へいへい｣

｢あっ！あとハイパーカップ！バニラ！｣

｢わぁったよ！！｣


板谷から自転車の鍵を受け取り､己のチョキに後悔しながら上ノ山はコンビニへ向かった｡


｢板谷君の自転車？｣

｢いいや？｣

｢元々の所有者はわからん｣

｢分からないの？｣

｢俺達が入学する前から代々受け継がれてるチャリなんだ｡
コンビニ行く時とか､Aさんも真冬も使うがよい！｣

｢ありがとう｣

｢へぇ……そんな曰く付きの自転車あるんだ！｣

｢まぁぶっちゃけ誰かが置いてったチャリを勝手に乗り回してるだけなんだけどな｣

｢それを言うなって植木！｣


その日の放課後｡Aは久しぶりにスタジオへ顔を出した｡
春樹からの電話で､ライブ映像を動画サイトにアップすることと､Twitter開設について聞いていたので､色々手助けを頼まれたのだ｡


｢よし！ちゃんとアップされてる！ありがとうAちゃん｣

｢いえいえ！｣

｢早速つぶやいとこう｡今度真冬も呟いてね！｣

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