5 ページ30
Aは上ノ山を宥めて、もう一度座らせる。
そしてグラスの汗を眺めつつ、話し出した。
「いつだったか、スタジオの前で秋さんと話してたことあったでしょ?その時聞いちゃったんだ」
「ああ……!」
「まぁ、なんとなく分かってはいたけどね!」
「俺ってそんな分かりやすいか……?」
「んー……。私と秋さんだから気付いちゃったのかも」
梶は普段から人の気持ちの機微に敏感だし、Aは……。
「まぁそういうわけだから、頑張ってね!」
「……変だと思わねぇの?」
「何が?」
「だからその……男が……って」
「どうして?」
「え?」
「りっちゃん、冬ちゃんのこと好きなんでしょ?恋してるんでしょ?」
ムッとしながらAは上ノ山に詰め寄る。
そんなAにたじたじになりながらも、上ノ山ははっきりと返した。
「好きです」
「だったら、自分の気持ちを変だとか思っちゃダメだよ。りっちゃんって意外とヘタレなんだね!」
自分の気持ちを知っても、Aは変わらずに笑ってくれる。そのことに、上ノ山は安心して頬を緩ませた。
******
それから数日経ち、Aと真冬の体調も良くなり、元気を取り戻していた。
というわけで……。
「えーそれでは!ライブお疲れ様!
あと、真冬回復おめでとう!乾杯!」
春樹が音頭をとると、真冬達もそれぞれグラスをぶつける。
早速注文しようと真冬と上ノ山がメニューを覗き込んでいると、春樹が不敵な笑みを浮かべた。
「ところで……。これが何であるかわかるか?民たちよ」
どこの王だ?とツッコミたくなる口調で春樹が見せたのはUSB。
「そう。先日のライブ映像であるぞ」
春樹の言葉に、真冬達はサイレントでそれぞれ喜びを表現する。
効果音を付けるなら「ドンドンパフパフ」と流れそうである。
「まぁUSBは前振りで、もう入れてきましたのでご査収ください」
春樹がPCに落とし込んだ映像を再生させると、真冬達は目をキラキラさせて画面に釘付けになる。
「「うわー……!動いてる!!」」
既に何度か見た春樹と梶は、2人の反応に「わかるわかる」と頷いた。
「……Aにも、見てもらいたい」
「そうだね。Aちゃんには心配かけちゃったし、ライブも見てくれてたもんね」
「後でデータ送るよ」と言う春樹に、真冬は「ありがとうございます」と笑った。
136人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
に - 最近ギヴンにハマった20代ですが、こちらの小説ほんっっっとうに最高です!!!!夢主の行動・気持ち・考えなど文からとても伝わってきて読みやすいです。お忙しいと思いますが、完結に向けて頑張ってください。楽しみにしております!! (2020年4月30日 13時) (レス) id: e8737ae1a9 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - アニメ終わって落ち込んでたら、映画っ!嬉しすぎて……2020年まで頑張っていけそうです!言ノ葉さん最終話までお疲れ様でした!番外?リクエストも更新、楽しみにしてます!に (2019年9月20日 15時) (レス) id: 7ef2d991dc (このIDを非表示/違反報告)
蓮華 - はじめまして!梶さんと春樹とのお話を書いてほしいです! (2019年9月20日 10時) (レス) id: eb587ffa62 (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - マシュマロが通信制限で使用出来ないのでボードの方に感想、リクエスト書かせて頂きました。御手数ですが見て頂けると嬉しいですよろしくお願いします。 (2019年9月18日 5時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - 美咲さん» コメントありがとうございます!雨月さんめっちゃ美人ですよね……。10話の耳かけスタイルがとても色気爆誕でやばかったです…… (2019年9月16日 21時) (レス) id: 50b948882d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:言ノ葉 | 作成日時:2019年8月30日 15時