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2話 ページ22

君のことを忘れないように、今日も口ずさむんだ。

「あーたらしいーざしきーのなかーでー、ちょーうがはねーをひろげーているー」

 ふんふんと、あのメロディを何度もなぞる。そしてとくに意味もなく、ちょうど目先にいた敦くんの顔を覗きこんだ。

「あーつしくん」

 すると彼の頬に、一筋伝うものがあるのに気づいた。

「え、泣いているの?」

 思わず声に出すと、彼は一瞬おどろいたような表情をして、自身の頬に手をやった。

「あ、本当だ、あれ?なんででしょう?」

 あふれてとどまることのない涙を、両手で必死に押さえながら、敦くんは困った顔をする。そんなの私にはわからないよ、と返事をしつつ、私はもしかして、なんてあるはずもないことを思った。

「もしかして、私の歌声があまりにも感動的だった?」

「いやいやそんなわけ」

 即答で、敦くんは遠回しに私に失礼なことを言って、しかし間もなくはっとしたような表情になった。

「あ、でも、たしかに太宰さんの歌を聞いてからだったかも...... しれないです」

「うふふ、でしょう?」

 適当にちゃかしを入れつつも、内心どこか、温かい気持ちだった。ねぇほら、やっぱり。みんな、みんな、君のことが、大好きだったんだよ。

「それにしても寒いね」

「もう、十月ですしね」

 敦くんは、涙を拭いながら言った。私は目をつむって胸いっぱいに空気を吸いこむ。

「君がまた新しい地で、どうか笑って生きて行けることを、祈っているよ」

 そんな私のつぶやきに、敦くんが首をかしげる。私はふふ、と笑って、もう一度あの歌を口ずさんだ。そのときちょうど秋風が、私たちにやさしく吹きかけた。


「死んだ月夜」了

あとがき→←終章 月夜の歌



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うずのしゅげ(プロフ) - 猫さん» ありがとうございます笑笑 そうですね、本当に彼女には報われてほしいですね☺️☺️ ドスくんが楽器を弾いて、夢主ちゃんが歌ってとかっていう穏やかで幸せな日々がありそうで妄想の翼が広がりますね!!笑 (7月17日 10時) (レス) id: c82952eeb4 (このIDを非表示/違反報告)
- ズビッズビッっべ、別に泣いてないですけど、夢主ちゃんは幸せであって欲しいですねズビッ (7月8日 10時) (レス) @page24 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - ラいむさん» ラいむ様!!長い間、本当にお世話になりましたー−!!!こちらこそ、今までありがとうございました。受験勉強がんばってきます!何度も何度もしつこいようですが、本当に、ありがとうございました! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - 眠夢@低(無)浮上さん» わー−!!うれしいですー!そうですねー、もうこの作品を書くことがないんだと思うと、本当に私も寂しい気持ちです、、わざわざコメントありがとうございました!次作でもよろしくおねがいしますー−! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - 黒猫さん» 上から読み返してくださったんですか......!! いやもうまじで、うれしいです!!黒猫様にはお世話になりました、今まで本当に、ありがとうございました!!受験勉強も、がんばってきます! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うずのしゅげ | 作者ホームページ:https://twitter.com/8YgT1yhKwYPDEd7  
作成日時:2022年8月11日 22時

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