２話 ページ18
あそのだれかの声とは、社長の声であったのだ。しん、とさらに静まった社内にいとうことなくゆっくりとこちらまで歩み、私の目の前で止まった。
「萩原。あなたの好きに、するがよい。私たちの力を借りたければ、尽力しよう。自分の意思を大切になさい」
社長の、ひとつひとつの言葉が胸に沁みた。ほとんど無意識に流れた涙に気がついたときにはそれはとどまることを知らず、目元を両手でおおっても指の間からいくつもこぼれた。
あぁ、やめてほしい、と思う。あなたたちの優しさが、私をがんじがらめにする。
太宰さん、やめてよ、私の手にふれないで、私の名前を呼ばないで。けれどそれを払うなんてことはもはやできないで、反対に涙だけがその勢いを増した。
萩原さん、泣かないで。笑ってね。
それはやさしい言葉で、ほほえんだ太宰さんを見て、私はかなしくなった。胸が痛くて、痛くて、それでもどうしてか私は彼にほほえみ返してみせた。次の瞬間にはそれ以上の涙があふれ、弱々しく立ち上がる。
心の方の涙の器量が、あふれたように思われた。
取り囲んでいた人たちの間を抜け、とぼとぼと歩いて扉の前に立ちどまった。
後ろから聞こえるのは、待ってとか、行かないで、とか。ここまで温かな探偵社で、私が幸せを感じられなかったことに、自分で自分に腹を立てた。
けれどそんなのももう、あと少しのことで、ため息ひとつ吐き出して、新しい息を吸って、声を出した。
「こんなに不甲斐ない、私でしたが、今まで、ありがとうござい、ました。私は、みなさんが、大好きだったんです。本当に。
―――だから、さようなら。みなさん。さよう、なら」
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うずのしゅげ(プロフ) - 猫さん» ありがとうございます笑笑 そうですね、本当に彼女には報われてほしいですね☺️☺️ ドスくんが楽器を弾いて、夢主ちゃんが歌ってとかっていう穏やかで幸せな日々がありそうで妄想の翼が広がりますね！！笑 (7月17日 10時) (
レス) id: c82952eeb4 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - ｽﾞﾋﾞｯｽﾞﾋﾞｯっべ、別に泣いてないですけど、夢主ちゃんは幸せであって欲しいですねｽﾞﾋﾞｯ (7月8日 10時) (レス) @page24 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - ラいむさん» ラいむ様！！長い間、本当にお世話になりましたー−！！！こちらこそ、今までありがとうございました。受験勉強がんばってきます！何度も何度もしつこいようですが、本当に、ありがとうございました！ (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - 眠夢@低(無)浮上さん» わー−！！うれしいですー！そうですねー、もうこの作品を書くことがないんだと思うと、本当に私も寂しい気持ちです、、わざわざコメントありがとうございました！次作でもよろしくおねがいしますー−！ (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - 黒猫さん» 上から読み返してくださったんですか......！！ いやもうまじで、うれしいです！！黒猫様にはお世話になりました、今まで本当に、ありがとうございました！！受験勉強も、がんばってきます！ (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うずのしゅげ | 作者ホームページ：https://twitter.com/8YgT1yhKwYPDEd7
作成日時：2022年8月11日 22時
