浪花節的ティーブレイク/観.月 ページ35
「……また貴女ですか」
「えへへ、来ちゃった」
静かに眉を顰めた彼に、許しを乞うように笑いを零した。彼の控えめな溜息が私を室内に誘い込む。
埋め尽くす、とまではいかないものの、豊富な種類の花々が、彼を取り囲むように置かれていた。校内とはとても思えない景色はさながら薔薇園のよう。
ここに通うようになってどれくらいが経つだろうか。
放課後──行く宛もなくふらふらと校内を彷徨い見つけたこの場所は、非常に密やかに存在していた。自分でも偶然とはいえよく見つけられたものだと思う。
暇なときはふらりとここに立ち寄って、彼にマナーがなっていないなどと指摘を受けながらも羽を伸ばす。
彼の斜向かいの席が、もはや私の特等席になっている。私がやってくると、彼も何も言わずに椅子を引く。
「観月君、これ手作り?」
「そうですが……何勝手に食べてるんです?」
「だってお腹空いちゃったから……」
「……勝手にしてください」
何だかんだで私に甘い彼につけ込み、淡い桜色のクッキーに手を伸ばした。相変わらず彼は何処か普通の男子とはズレている。なんというか、一つ一つの仕草に気品を感じるのだ。話し方も相まってか、女性らしさを感じなくもない。
「これ美味しいね〜ピンクのは何?」
「それはストロベリーパウダーを練りこんだクッキーですよ。美味しいでしょう?」
「うん!観月君料理上手だね!」
「ま、当然ですが」
素直に褒めると、彼はウェーブがかった毛先を指で巻く。それは、彼の照れ隠しの癖だった。
強気な言葉とは裏腹な表情に、思わず笑ってしまった。何ですか、と機嫌を損ねたように目を細めた彼に、何でもないと誤魔化しながらもう一枚クッキーを摘んだ。
66人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時