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「そういえばお前さ」
「何?」
「いや、今……買い出しの途中じゃないのか?」
一年の蟠りも解け、世間話に花を咲かせていると、ふと彼が思い出したように私の足元のビニール袋を指さす。
「あ、ううん。今日は部活休みなの。時間があったからもうすぐ無くなりそうな備品の補充してただけ」
「え、つまり自主的にってことか?」
「そうだけど……」
「………………お前、マネージャー頑張ってんだな」
彼の台詞に、また胸が締め付けられた。照れ隠しにだからさっきも言ったでしょ、と言い返す。とりあえず収まってくれ、胸の鼓動。
彼は、そうだなと言って笑った。それに釣られて笑ってしまった。何だかツボに入ってしまい、二人で暫く笑いあっていた。
「……あー、その」
「……?うん?」
「聞きたいことがあるんだけど……良いか?」
一頻り笑い終えると、彼が一変して真剣な顔になる。真っ直ぐに、こちらを見据える視線。
「お前……テニス部に好きなやつ、とかいるか?」
「……えっ!?」
一拍遅れて言葉の意味を理解する。それと同時に顔が火を吹いたように赤くなるのが分かった。
まさか彼からそんなことを聞かれるとは思っていなくて、過度に狼狽える。平然を意識すればするほど、態度は不自然になっていった。自分の不器用さが恨めしい。
「……い、いる」
「…………やっぱり、」
「で、でも!……青学じゃ、ないよ」
彼が少し驚いたような顔をした。ええい、ここまで言ってしまったら言うしかない!言っちゃえ!
「わ、私の好きな人は──裕太君、です!」
言ってしまった。不安で膝の上の拳が震えた。ぎゅ、と固く目を閉じて俯く。何も見れない。
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紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時