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「あ、花火」
隣に並ぶ宍戸君が呟いた。その声につられて見上げた瞬間、夜空に大きな炎の花が舞う。それは、まるで蝶が鱗粉を撒き散らすように夏の空に散っていく。綺麗だと、心から思った。
「……なんか、綺麗だな」
「うん。本当に…………」
最初はこの野郎、と恨めしく思ったが、友人のあの機転がなければこんな幸せな時間は過ごせなかった。幸せの海に溺れて死んでしまいそうだ。
また欲張りをしそうになった。これ以上高望みはいけないと分かっている。だから、そっと胸にその思いを潜めた。まだ、早い。
「……あのさ、お前って」
「……え、あ、うん」
「岳人とジローには名前で呼ばれてるよな」
「まあ…………えっと、なんで?」
「いや……そのよ、」
人混みから離れ花火を眺めていると、彼から話題を振られた。平常を装おうとする。
気まずそうな彼に、こちらが何だか緊張してしまった。いや、ずっとしている、の間違いだ。
「…………俺も、お前のこと名前で呼びてぇんだけど、」
「あ……」
言いたかったことを、言って欲しかったことを言われたような気がして、開きっぱなしの口から声が漏れた。
「うん。……宍戸君に呼んで欲しい」
「お、おう!…………俺のことも、亮って呼べよ」
「わ、わかった!えーと、えーと……亮君!」
「あー……なんかヤバいな、これ」
「…………恥ずかしすぎて死にたい」
「馬鹿、死ぬなよ。……A」
「ひゃ、ひゃいっ!」と声が裏返った。それに対して彼が笑顔をこぼすから、恥ずかしさなんてどこかへ飛んでいってしまう。
「…………これからはもっと話しかけてもいいか?」
「……いいよ。その代わり、私にも話しかけさせてね」
「あ、ああ!」
まだまだ恋愛には遠い私たち。
でも、花火と夏祭りの魔法が、私たちを近づけてくれた。だから、きっと大丈夫だよね!
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今日に間に合ってない!!
宍戸亮バレンタインチョコ獲得数ランキング7位ありがとうございます!本当に嬉しいてす!おめでとう!
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紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時