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「うっわ……流石に混んでんなぁ」
「そうだね……」
屋台が連ねる道に入ると、あっという間に人の波に飲まれてしまった。辛うじて宍戸君の背中を見失っていない状態。
確かに彼はすごく背が高い訳では無いけれど、女の私と比べれば充分大きくて。歩幅だって随分違う。大股で早歩きしてやっと追いつける。
少し背中が遠くなり、焦って追いつこうとしたら、彼が顔をこちらに向けた。
「わ、悪ィ!お前のこと考えらんなくて……」
「う、ううん!大丈夫!」
「…………夏城、」
数秒置いて、目の前にすっと手が差し出される。テニスをしている人ならばつく可能性のある、ありとあらゆる所にマメができていた。でも、そんな手が男らしくて、彼らしくてときめくのだ。
「…………手、繋がねぇか?」
もう片方の手で恥ずかしそうに頬を掻きながら、そう言って目を背ける彼。その顔と声に、どくりと血脈が波打つのが聞こえた。
「でも、お前が嫌なら、」
「つ、繋ぐ!」
なかなか返事をしない私に気を遣って引こうとした手を、反射的に引き止めた。伝わった体温に、頭が白く染まっていく。
「……つ、繋いでも、いい?」
「………………ああ」
不安になってもう一度聞き返す。相変わらず目を合わせてくれない彼が、小さな声でそう答えた。ホッとした気持ちとドキドキがぐちゃぐちゃに混ざる。
見上げた夜空は、賑やかなネオンカラーに吸い込まれそうになっていた。
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紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時