5人の怪盗と生きる宝石 第3幕

mission105 ページ26

Youside



数日前



日々樹｢なるほど。1週間以内に零の弟さんを説得し、一緒に逃げるように促す…と。｣


A｢うん。私、何とかしてここから出たいの。だから渉にも協力して欲しい。｣


渉は少しだけ考え込んだ後ゆっくりと首を縦に降ってくれた。


日々樹｢可愛いAの願いですからねぇ♪聞かないわけにはいかないでしょう。ですが1週間以内に説得出来なかったらどうするのですか？｣



A｢その時は…渉の手も借りずに1人で逃げてみせるよ。安心して。もう何も知らない私じゃないから。｣

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A｢というわけで、1週間以内に凛月君を説得出来たら渉に協力してもらって凛月くんと私の2人で逃げるっていう約束をしたの。｣



凛月｢…無茶苦茶すぎない？てか、さっきまでの感動を返して。あれ全部演技だったわけ？｣



凛月君は少し不機嫌そうに私に聞いた。


A｢え、あれは違うよ。さっきまでのやり取りは全然作戦とは関係ない。むしろ凛月君を説得するのは明日やる予定だったし。｣


日々樹｢まぁ、説得するための口実を考える為に食事も取らないというのはやりすぎですがね。…結果として良かったのでしょう。｣



渉がそう言うと凛月君は目を見開いてこちらを見た。



凛月｢…まさかあんたが食事を取らない理由が俺のせいとはね…｣


A｢まぁ、最終的に作戦関係ないところで説得しちゃったから意味なかったんだけどね。｣


凛月｢はぁ…、しかも"あの"日々樹渉まで味方につけてるとか…ほーんと、敵に回したくない。｣



そう言いつつ凛月君は少し嬉しそうだった。


凛月｢それで？あんたは俺達を本当にここから逃がしてくれんの？｣


凛月君は渉に対しての警戒が完全に解けているわけでは無さそうだ。


日々樹｢えぇ。約束ですので。なんなら、もう準備は済ませていますよ♪外にいる見張りに睡眠薬を盛ったコーヒーを飲ませましたから。あと数分で眠りにつくでしょう♪｣



A｢流石渉、抜かりない…｣



凛月あーもう、それなら早く準備しないとじゃん…少し待ってて。｣


凛月君は私の部屋の隅にあるクローゼットから厚手のコートを取り出し羽織り始めた。

日々樹｢Aこちらを向いて下さい。｣


そう渉に言われ、振り向くと


日々樹｢ﾁｭｯ｣


私のおでこにキスをされた。


日々樹｢貴女に祝福がありますように。｣


A｢うん、絶対に逃げ切るから！｣


日々樹｢それでこそAです。どうか気をつけて。｣




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