5人の怪盗と生きる宝石第2幕 (ページ43)

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mission79 ページ43

凛月side

凛月｢おっ…と、危な…｣

睡眠薬で眠ってしまい体勢を崩して椅子から滑り落ちそうになったAの身体を抱き上げる。

その身体は言っちゃ悪いが酷く薄っぺらかった。
…痩せすぎてるって意味ね？

俺は眠っているAを肩に担ぎあげ、まだ残っているクッキーに目をやる。

(紅茶だと確実に警戒されるから、備え付けのクッキーの方に睡眠薬を仕込んで正解だった。)

実際、Aは俺が紅茶に何か仕込んでいるんじゃないかと疑っていた。だから俺は敢えて紅茶には何もせず、備え付けのクッキーの方に薬を盛ったのだ。

正直、クッキーを食べてくれるかどうかは賭けだったけど。

Aに言った通り紅茶"には"何も盛って無いからね。

(泣いたせいか目がヒリヒリする。…そろそろここから離れないと。)

俺はエッちゃんから貰った"ある物"を取り出した。

凛月｢魔法石…か。これめっちゃ高価な筈だけど、魔法石を使ってでもAが欲しいって事ね。｣

魔法石はその名の通り不思議な力を持つ石だ。
石によって効果は異なるが火を起こしたり、風を吹かせたり色々なことが出来るのだとか。

俺がエッちゃんから貰ったのは空間を瞬時に移動することが出来る魔法石だ。

この石は魔法石の中でも最も希少で高価だという。俺も初めて見るものだ。

これを使えばここから一瞬で王宮へと飛べる。

俺が魔法石を使おうとしたその時

ガシャンッ！！！！

凛月｢…っ！？｣

急に鍵を閉めておいたはずの俺の部屋の扉が粉々に砕け散った。

"扉だったもの"の傍には人影があり、恐らくそいつの仕業だろうと考えられる。

俺はその人物の翡翠の瞳に鋭く射抜かれた。

正直…その人物は予想通りの人だった。

凛月｢やっぱり来ちゃったかぁ…いくらなんでも扉を壊すのはやりすぎだと思うんだよね…王様。｣

その人物…もとい、王様はどこからとってきたのか分からない剣の切っ先を俺に向ける。

その目には殺意が滲んでいて思わず俺は身震いした。

月永｢リッツ、Aを離せ。逆らうならおれはお前を斬る。これは命令だ。｣

あーあ、こんなやつと殺りあえなんて…無茶にも程があるよ、エッちゃん。

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