mission78 ページ42
youside
凛月｢俺の兄は凄い人でさ…この国で名前を知らない人は居ないくらい有名な人なんだよね。｣
A｢…｣
私は黙って凛月くんの話を聞くことにした。
凛月｢でも、俺は昔から体が弱くて外に出られなくてさ。ずっと家に閉じ込められてたんだよね。籠の中の鳥みたいに。俺、兄のこと大好きだったけどさ…周りが俺と兄をあまり会わせないようにしてた。｣
A｢それは…なんで。｣
凛月｢俺の生まれた家は特殊でさ。この国に反対する…宗教みたいな家。兄はその家の次期当主だから俺と会うと悪影響だってまともに会えなかった。兄弟なのにね。｣
A｢…酷い話、だね。｣
今の凛月くんが少しだけ浮世離れした儚さを持っているのはその幼少期のせいなのだろうか。
凛月｢それでも兄はこっそり俺に会いに来てくれた。周りの大人に気づかれないように。俺も兄もお互いが大好きだった。でもね…いつも大人達は俺たち兄弟を邪魔してきた。だから…数年前、俺は兄に一緒に家から逃げようと提案したんだ。そしたらなんて言われたと思う？｣
A｢うーん、それはできないとか？｣
凛月｢まぁ、遠からず、だね。兄はね、どんな事があってもこの家から離れられないって言ったんだよ。それが自分の責任だからって。意味わかんないよね、生まれてから俺らは意味のわからないしがらみを背負わされているんだよ。｣
凛月くんの表情が段々歪んでいく。それほどまでに辛かったのだろう。
凛月｢だからね、俺はその家から兄を解放するために家を出た。兄を解放する為に色んな方法を探した。そして…俺はKnightsと出会った。でも、Knightsにいるだけじゃダメなんだよね。兄を救うためには…｣
凛月くんの話を聞いているうちに、私は自分の身体に起きている異変に気づいた。
(あれ、なんだろう…？なんだか…身体が重くなってきた…力が入らない…)
ｶｼｬﾝ!
私は持っていたティーカップを床に落として割ってしまった。
凛月｢あぁ、やっと効いてきたんだね、睡眠薬。｣
(睡眠薬…？)
凛月｢ふふ。言葉も発せないでしょ？遅効性だから少しこの場に留めておく必要があってさ…長い話をしたのもこの為なんだけど。それに気づかないなんて間抜けだよね。｣
A｢な…ん、で？｣
凛月｢言ったでしょ？兄を解放したいって。…その為の鍵はあんたなんだよね…A。…おやすみ哀れなお姫様。｣
私の意識はそこでぷっつりと途切れてしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リューゲ | 作成日時：2022年8月1日 20時
