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第18話 試合開始 2 ページ38




「姫さま、起きて」
「ん〜?ふふ…そんなに食べれないっぺ…」
「もう、姫さまったら。」

バスから降りるためなえを起こそうとした千鳥だが、なえは間抜けな寝言をこぼして起きる気配がない。ここはもう少し大きな声で起こそうかと千鳥が息を吸い込んだときだった。

「こういう馬鹿はこうやって起こすんだよ。」

ぬっ、と千鳥の背後からアツヤが現れ、ビシッと一発強烈なチョップをなえの頭に叩き込んだ。

「いたーっ!?」
「やっと起きたか、ほら降りるぞ」
「ちょっと、何してくれてん!?うちの頭が悪くなったらどう責任取るつもりやっぺ!」
「お前はもとから馬鹿だからいいだろうよ。」
「なんやて〜!?」

すっかり目が覚めたなえはきゃんきゃんとアツヤと言い争いをしている。そんな2人の様子を微笑ましく眺めながら、千鳥たちはバスを降りていった。





FFスタジアムの大型ビジョンに、両チームのスポンサーの広告が流れる。白恋のスポンサー、しろうさぎ本舗は和菓子の大会社だ。

「弾む美味しさぴょんぴょんぴょん、しろうさぎ本舗は白恋中を応援しています。ぴょん!」

そんな愉快なナレーションとともに映し出されているのは2人の少女が白いうさぎの着ぐるみを着てぴょんぴょん跳ねまわる可愛らしい映像。その2人とは、チーム内で特に小柄な荒谷と千鳥だった。

「……。」

千鳥は黙って下を向く。その耳は微かに赤い。少し、このポップなコマーシャルが恥ずかしいのだ。
士郎はそんな千鳥を愛おしそうに眺める。対して、アツヤはどこかからかうようにニヤニヤと見つめていた。

さて、両チーム挨拶も終わり、ついにキックオフの合図を待つばかりだ。白恋のフォーメーションは4-3-3。千鳥はMF位置の中心にいた。千鳥は一つ深呼吸をしてはやる胸を落ち着けると、先ほどのミーティングを思い出した。

『雷門の強さは意外なフィジカルの強さ。細かくパスをつないでいきましょう。それからチームワーク。その連携の穴は──。」

わたしが見抜きます。
自ら発した言葉に、責任がまとわりつく。そう、自分がこの試合をコントロールするのだ。ぐっと意気込んで、試合開始の合図を待った。



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作者名:いわき | 作成日時:2019年10月18日 0時

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