第16話 新たな作戦 1 ページ33
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東京に到着した次の日からは、早速全国大会に向けての特訓が始まった。開会式までの僅かな期間とはいえ、パワーアップのためには練習を欠かすことはできない。
しかし、そんな今日、なえは練習に来ていなかった。なにやらスポンサーの娘ということで別件の仕事が入っているらしい。
「まったく、何が選手だ。結局お嬢様じゃねえか。」
アツヤはそう毒づきながらも、どこか上機嫌そうだった。それは、なえがいないことで千鳥が久しぶりにチーム全体の練習を指揮していること──とどのつまり、自分に構ってくれるのが嬉しいからだ。
しかし、アツヤにとってのそんな幸せな時間は長くは続かなかった。
練習を始めてしばらくすると、グラウンドに珍しい影が現れた。それは、しろうさぎ本舗の社長であり、一応このチームの監督でもある白兎屋甘兵衛だった。
白恋の選手たちはその姿に、何事だと不思議そうな顔をする。まっさきに甘兵衛に噛みつきに行ったのはアツヤだった。
「おい、一体何の用だよ」
「みんなに一つ練習してもらいたい戦略があってな」
「戦略ぅ？今までチームの練習に来なかった、来ても見てるだけだったやつが何をいきなり……」
「まあまあ、アツヤ。」
一気に不機嫌になったアツヤを後からやってきた士郎がなだめる。
「話だけでも聞いてみようよ。」
「……チッ」
穏やかな兄の顔に、アツヤは一つ舌打ちをして静かになった。ぞろぞろ選手たちが甘兵衛の元へ集まってくる。その中には千鳥もいた。
「…ふむ。みんな集まったっぺな。それじゃあ作戦を説明するっぺ。それは──。」
すると、甘兵衛はその『作戦』を皆に説明し始めた。その説明が終わった瞬間、アツヤが「ハァ！？」と驚きの声をあげる。こればかりは彼だけでない。チームの皆が驚愕の表情を浮かべていた。
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作者名：いわき | 作成日時：2019年10月18日 0時
