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「どうしよ、やっぱりあれってデートかな」
志麻くんが帰った後、クッションに顔を埋めてベッドの上で足をバタつかせていた。あぁもう、今すごくドキドキしてる。一応学校が終わってからそのまま行こうってなってるけど、少しだけ髪巻いてみようかな、とかちょっとだけ色ついたリップ塗ろうかな、とか恋する乙女っぽい考えが頭をよぎった。
「………んー、この長さなら、少しくらいはアレンジできるよね?」
中学生の時に、結んでても鬱陶しいし、暑いしで思いきって髪をショートにしたら志麻くんが若干目を輝かせながら「めっちゃ似合う!」って言われたのでそれ以来ショートカットを続けているが、冬場はさすがに寒いからと少しだけ伸ばしていた。それでももしかしたら足りないのかもと思って一生懸命髪を引っ張っていると、ノックも無しに部屋のドアが開いた。
「A、ご飯できたけど………って何してんの」
「お姉ちゃん………あのね、今度放課後に志麻くんとお買い物するんだけど、ちょっとだけおめかししたいなって考えてて」
「あぁ、そういうこと。それなら当日セットしてあげるから。ほら、母さん呼んでる!」
急かされながらリビングに向かうと、既に父も席に着いていた。母はテーブルの上に鍋をセットしている。
くつくつと音を立てる鍋からは優しい出汁の香りが漂っていた。
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憧葛 - こんばんは、憧葛です!作品を読ませていただきました。いやもう本当にどれも神作ばかりで……素敵なお話をありがとうございました!これからも頑張ってください! (2021年12月7日 18時) (レス) @page38 id: e0ae3127c5 (このIDを非表示/違反報告)
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