【D!】犬か、人間か。【男主】 (ページ23)

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その手へと近づくとヘヘへッと先程見た上品な彼とは真逆な気の抜けた嬉しそうな声が聞こえてきた。

その手は戸惑うこと無く俺の顎を数回撫でて頬、耳、頭と順に上へといきゆっくりと優しく撫でている。

『(な、なんか...ごめんな...中身がいい年した野郎で...)』

何故かよく分からない罪悪感にかられていると、その手は不意に離れたかと思うとすぐに俺を抱き上げ、再び足がついたのはエーミールさんの膝の上だった。

彼はそのまま俺を膝の上で座らせると再び撫で始める。

『(というかエーミールさんは動物を飼ったことがあるんだろうなってくらいに撫でるのうまいなぁ)』

面白いくらいに上機嫌な彼を見て思わず尻尾が揺れるというものだ。

エ｢...それにしても聞いていた以上に賢い子ですね、やはりグルッペンさんが飼うことを許しただけあります｣

俺を撫でるのにひと通り堪能したのかぼそりと呟く

確かにはしゃいでいる方が普通ともいえる見た目の犬が膝の上で大人しくしているのだから言われて当然ではある

でも

『わん(いや俺人間だし)』

エ｢ふふふっ！当たり前って顔してますね！｣

『(うーん、違う)』

俺が胸を張ったと勘違いしたのか子供をあやす様に撫でてくる

一度意思疎通ができないか文字を書いてみたことがある。
だが所詮は犬、ペンをくわえて紙に書いたところでできたのは解読不能な文字とすら言えないようなものだった。

まぁその後トントンさんに見つかって叱られるかなと思ったけど
ちゃんと紙に書いてる上書類でもないのでなんとも言えない顔をされた、あとめちゃくちゃ撫でられた。

『(それにこっちの言語全然分かんないんだよな...)』

ちらりとエーミールさんの読んでいた本を見るがそれは俺が知ってる日本語でもなければ英語でもない、けど言っていることはわかる。

本当に不思議だ
この世界を理解しようとするたびに謎が深まる、分かっているはずなのにわからないことが増えていく。

コンコン

扉の方からノック音が聞こえた

オ｢エーミールいる〜？｣

扉の奥から聞こえてきたのはオスマンさんの声だった