【連絡】6 ☆ ページ6
☆主人公サイド
「お嬢さま、そろそろお父上とのディナーの時間です。」
私を部屋まで呼びに来たのは、長年仕えている執事の谷山直樹。
私よりも10才年上で、今年35才になる独身男性だ。
まぁ年なんてどうでもいいのだけど、私ごときに執事が付いているのは、父親が某航空会社の常務だからであって、私の功績ではない。
娘というだけでそれなりの家に住み、それなりの物や使用人に囲まれて生活をしている私は、他人からみれば恵まれているのかもしれない。
でも私はこの生活が窮屈で仕方がなかった。
「わかったわ、今いくね。」
今も、精一杯の作り笑顔を谷山に向ける。
ちなみに子供の頃から執事の事は空気だと思えと言われて育ってきたので、彼に関しては何の感情もない。
「お待ちください。まさかその格好で行かれるおつもりですか。」
「そうよ。何か変だった?」
自分の服装を見回しつつ、わざとらしく返す。
谷山にダメ出しされるのは分かっていたのだけど、これはほんの些細な抵抗だ。
「お嬢さま、Tシャツにジーンズはいけません。せめてワンピースをお召しになってくださいませ。」
「嫌よ。私はこれが楽で好きなの。それに今日はお父さまと二人だけでしょ。」
お客さまが来られるわけでもないし、服など何でもいいはず。
素足に靴下。これが一番気持ちいいのだ。
「そうですが、那珂川家の人間ともあろうお方がそのような…。」
「谷山。あなたはいつも堅苦しいのよ。洋服くらい好きにさせてよ。」
腕を組んで頬を膨らます。
本当は毎日ジャージかスウェットでいたいくらいなのに。
「いいえ、いけません。失礼します。」
「あっ、ちょっと!」
扉の外にいた谷山が大股で私の部屋に入ってきて、真っ直ぐにクローゼットへ向かう。
そしてそこからおもむろにベージュのワンピースを取り出し、私へ差し出した。
「本日はこちらでお願いいたします。」
「勝手に開けちゃだめ!」
「お嬢さまのために仕方なくしてさしあげているのです。」
職務を遂行しているまでです。と一字一句張りのある声で言い切られる。
「ぐぬぬ…。」
「では15分後に。時間厳守でお願いいたします。」
「むきー!待ちなさい生意気なっ。」
しかしそんな抵抗の声は、扉が閉まる音に書き消されてしまい、部屋には私とワンピースが残されるだけ。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 私のイメージは、結婚あまりうまくいかないような気が…。家族にはわがままっぽいから、きっと奥さんにも…^^;ファン第一に考えそう(笑)引退してもスケート中心で家庭をかえりみなさそう(笑) (2021年3月1日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ゆづが幸せなら私も嬉しいです。愛妻家でいてほしい!レディーファーストでいて、決断力がある頼りになる夫、というイメージです。 (2021年2月24日 21時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» なんか、さくっと終わらせるつもりが、長くなりそうな予感^^;10までには終わりたいけど…。寝不足に気を付けつつがんばります! (2021年2月24日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 美緒さん» ありがとうございます^^主人公に振り回されてくっつきそうな予感。まだ定まってません(笑)勝手なアンケートでは、国民の9割以上が彼の結婚を祝福できると答えたそう!羽生さん、安心して結婚していいんだよ!^^ (2021年2月24日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - フィギュアスケートのアニメに夢中なお嬢様をスケートでスパルタ指導してみる?頭打ったらまずいか。どうやってくっつくのかなぁ? (2021年2月21日 21時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2021年2月10日 16時