【お宮参り】6 ★ ページ21
「この着物をマントみたいに巻くんだよね。ええっと…。」
「貸して。俺がやる。」
お祝いの着物を後ろから羽織らせ、蝶々結びにして御守り袋を据え付ける。
何もかもが初めてで戸惑うけど、神聖な儀式を前に身が引き締まる中、Aに翼の妖怪体質をどのタイミングで話すか迷う。
一つ目小僧のこともそうだし…。ここへ来ると何かと問題が起こるのは困りものだ。
「翼くん。お祓いの間、良い子にしてるんだよ。結弦くん、腕が疲れたら抱っこ変わってね。」
「……。」
「…どうしたの？」
考え事をしていて返事が出来なかったことを不審に思われたのか、Aが俺を凝視する。
ええい、このままうじうじしてても埒が明かない。
俺は少しの覚悟をもって口を開いた。
「あのさ、実はさっき中庭で、視ちゃいけないモノを視ちゃったんだよね。」
「視ちゃいけないもの？」
「目が一つしかない妖怪なんだけどぉ…。」
そんなの一人しかいないのだけど、固有名詞を出すのをはばかられたので、何となく濁してみる。
するとAから予想の上をゆく答えが返ってきた。
「えっ、もしかして一つ目小僧のひとみくん？」
「何その、ひとみくんって。」
後ろに余計なのがくっついたぞ。
「名前だよ。一つ目小僧の。そう言えば今日みたいな雪の日によく雪投げして遊んだなぁ。」
懐かしい…。と、しみじみとした表情でうなずいている。
「なに友達みたく言ってんだよ。」
やっぱり繋がってた。しかも友達感覚か。
これだから妖怪体質の引きこもりは！
「え？普通だよ。それよりひとみくん今どこなの？」
辺りをきょろきょろしだしたので、感動の再会を期待されても困る俺は、彼が山へ帰ったことを告げると、なぁんだ。と、がっかりしたように首をもたげた。
「…お前怖くねぇの？」
ありえんわ。リアルに目が一つしかない妖怪なんて、はっきり言っておばけ並みに怖い。
「ひとみくんは大丈夫。優しいから。」
「妖怪だよ？何しでかすかわかんねぇし。」
あの屈託のない笑顔の裏に、とても恐ろしい一面を持っていたらどうする。
なんとなくだけど、自分の中で妖怪は豹変するイメージがあるのだ。
「心配しなくていいよ。どうせ私たちにしか視えないんだから。」
よしよしと翼をあやしながらも、相変わらず妖怪に対してはノリが軽いA。
でもその、『私たち』の中に今日、目の前にいる子が一人加わったんだぞ。
「それがそうでもなくなった。」
「…どういうこと？」
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鹿(プロフ) - みなみさん» ありがとうございました。妖怪なんて知識ないので、ネットに頼りっぱなしで…。地震のとき、真っ先に羽生さんを心配してしまいますね。どうか無事で！ (2021年2月14日 20時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ついに完結ですね。面白かったですよ。妖怪が絡むお話なんてなかなかないと思いますし。 大きめの地震がありました。うちもけっこう揺れましたけど、仙台はもっと強い揺れだったようで、羽生くんが心配。とにかく、みんなが無事でありますように。 (2021年2月13日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 〜空〜さん» 完結がモットー(*^^*)みなさんに楽しんでもらえたかなー。自分でも作品を読み返すのですが、最初は書きやすいのですが、だんだんネタが尽きてくるパターンが多いです(笑)くっつくまでが楽しいんですよねー。また読みに来てくださいね！ (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - キャラメル味さん» 最後結構ばたばたと終わらせてしまいましたが楽しんでもらえてよかったです(*^^*)やっぱり羽生さんには女の子だよなーと、妄想してしまいました。兄をサポートするしっかり者の弟。というイメージですかね。 (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 璃子さん» ご愛読ありがとうございました(*^^*)今回双子にしたのですが、成長するとどっちがしゃべってるのか分からなくなりそうで難しいかも。結局新しいお話を書いてしまい、またしんどくて楽しい生活が始まってしまった…。 (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2020年12月16日 18時
