【８時２分】6 ★ ページ11
双子は同時に泣くって聞いたことあるけど、うちの場合は二卵性だからそういうリアクションはないのだろうか。
「つか寝相がAに似てんな。」
昨夜のAは本当に良く眠っていたから、その姿と重なって、何とも言えない幸せな気持ちになる。
「そだ、写真。」
ポケットから携帯を取り出し、カメラのアプリを起ち上げる。
あんまりアップでは撮れないけど、雰囲気だけでも今の二人をAに見せたい。
ピントを合わせてタップし、写った画像を見ると…。
「いいじゃん。」
思いの外上手く撮れて自画自賛する。
やっぱ親子だな。髪の毛の生え方がすでにAっぽい。
「あーかわいい。まじで天使。」
廊下に一人きりなので、そこそこ普通の声で呟きつつ、次に兄である翔へと携帯を向ける。
こっちはまだ泣いてるのか。まるで試合に負けて悔しがってる俺みたい…。
「違う違う。」
即座に否定する。
俺は泣き虫じゃない。これはきっと…お腹がすいてるんだ。
勝手に納得しつつタップしたら、携帯からぴろんと音が鳴る。
泣き顔だって充分かわいいものだ。口を開け、ぎゅっと目を閉じた真っ赤な顔こそ、赤ちゃん本来の姿なのだから。
「目に入れても痛くない。…あれ？」
そんな中、枕元に付いている、生まれた時間の書かれたプレートが目について、今撮った画像を拡大する。
１１月１日８時２分…。
「この並び、どっかで見たことある数字だな…。」
斜め上を見ながら記憶をたどる。
１１１…８２…。１１１８２…。
「あっ、１１１．８２！！」
俺のショートの世界最高得点と同じだ！
それに気付いた瞬間、思わず携帯を落としそうになる。
まじか…。本来ならば９時過ぎの手術だったはずなのに、１時間前倒しになって…。
だとすればこれは必然…。双子たちは敢えてこの時間に出てきたかった、とか…？
「やっぱ考えすぎかな。」
まぁいい。Aに言ったらさっきみたいに、発想が子供っぽいとか言われそうだから、この事はしばらく自分の胸の中だけにしまっておこう。
たとえ偶然でも、今日という日は我が子の誕生日で一生の宝物なのだから。
「よし、いったん戻ろう。」
俺は二枚の写真を撮った携帯を再びポケットに入れて、他の赤ちゃんの顔も見ながら、名残惜しくもAのいる部屋へと歩きだす。
男の子、女の子。大きい子、小さい子。
みんなの未来が明るいものになるように。
微力ながらも、願わずにいられなかった。
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鹿(プロフ) - みなみさん» ありがとうございました。妖怪なんて知識ないので、ネットに頼りっぱなしで…。地震のとき、真っ先に羽生さんを心配してしまいますね。どうか無事で！ (2021年2月14日 20時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ついに完結ですね。面白かったですよ。妖怪が絡むお話なんてなかなかないと思いますし。 大きめの地震がありました。うちもけっこう揺れましたけど、仙台はもっと強い揺れだったようで、羽生くんが心配。とにかく、みんなが無事でありますように。 (2021年2月13日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 〜空〜さん» 完結がモットー(*^^*)みなさんに楽しんでもらえたかなー。自分でも作品を読み返すのですが、最初は書きやすいのですが、だんだんネタが尽きてくるパターンが多いです(笑)くっつくまでが楽しいんですよねー。また読みに来てくださいね！ (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - キャラメル味さん» 最後結構ばたばたと終わらせてしまいましたが楽しんでもらえてよかったです(*^^*)やっぱり羽生さんには女の子だよなーと、妄想してしまいました。兄をサポートするしっかり者の弟。というイメージですかね。 (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 璃子さん» ご愛読ありがとうございました(*^^*)今回双子にしたのですが、成長するとどっちがしゃべってるのか分からなくなりそうで難しいかも。結局新しいお話を書いてしまい、またしんどくて楽しい生活が始まってしまった…。 (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2020年12月16日 18時
