赤と黒のLiberations5

【幕開け】1　☆ ページ39

☆主人公サイド

今日から新学期。
やっとうるさいのがいなくなると思ったのも束の間。私は携帯片手に朝からこのどうしようもない妹を追いかけ回していた。

「まどかぁー！！」

「きゃははー！」

ちょこまかと逃げ惑うまどかをキッチンに追い込んで、捕まえようと手を伸ばす。

「待ちなさいっ！」

「お母さん助けて！」

すると朝ごはんを用意しているお母さんの後ろに逃げ込んでしまった。

「もぅ、朝から何事なの。」

ケンカに関しては冷静中立のお母さんが、いつもの口調で私たちを諭す。でも今日は絶対に妹が悪い！

「まどかったら、勝手に私の携帯いじって彼氏に写真送ったんだよ？！あり得ない！」

今朝携帯を見て、私がどれだけ驚いたことか！眠気が一気に吹っ飛んだ。

「いいじゃん、別に変なのじゃないんだしー。」

「おまけに私のことをよろしくお願いしますなんて！悪ふざけにもほどがある！」

「なんでよー、一応挨拶しただけじゃん。」

「挨拶？子供のくせに余計なことしないで！」

お母さんの後ろから顔を出すまどかの首根っこを捕まえようとすると、頭を低くしつつ、くるっとターンしながらかわされた。
相変わらずすばしっこい！

「返事は？きた？」

「あっ！」

そんな中、まどかがひょいと私の携帯を奪い、走りながら慣れた手つきで画面に触れ、勝手にアプリを起ち上げてメッセージを読みだした。

「えーっと…こちらこそよろしくだって〜！」

「だから見るんじゃない！」

そんな生意気な妹をキッチンの隅に追い詰め、すぐに携帯を奪い返してポケットにしまう。

「あらまどか、良い返事でよかったじゃないの。」

「お母さん、なんとか言ってよ〜。」

こんなのただの社交辞令だ。
羽生くんも羽生くんだよ…。悪乗りして正体がばれても知らないんだから！

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