赤と黒のLiberations5

【誕生日プレゼント】7　★ ページ25

★羽生サイド

今日の練習でアクセルがかなりかすったので、俺は家に帰ってからも機嫌が良かった。

「Aに教えてやろっかなー。いや、やっぱ試合まで黙っててびっくりさせてやろ。」

今季。俺がアクセルを降りたら、否応なしに世界中のニュースになるだろう。
そしたらきっと大慌てで連絡してくるはず。

「ふふ、楽しみ。」

いつものように鼻歌をうたいつつ、お風呂上がりの濡れた髪をタオルドライしながらベッドに腰かけ一息つく。

さて、先の話は置いておいて、これからは今日一日頑張ったご褒美タイム。
日本にいる恋人の声を聞こうじゃないかと、アプリを起ち上げて、ウキウキしつつAの名前をタッチする。
すると、なんと２コール目で繋がった。

『もしもし…。』

「あ、Aー？やっほー。」

軽く手を振ると、寝転んでいたのか、髪形が少し乱れているAと目が合う。

『やっほーじゃないし。』

「え。」

あれ、なんか不機嫌だぞ。
まさかまた何かあったのだろうかと、思わず手の動きを止めて画面を食い入るように見つめる。

「どしたん。そんなしかめっ面して。またコウくんに何か言われた？」

つい先日起こった例の幼なじみによるトラブルは、解決こそしていないが、今の所おとなしくしてると
聞いていたのだが…。

『言われてない…。』

「違うのか。じゃあ何。」

Aが落ち込む時は態度ですぐわかる。
原因を聞き出そうとしたら、画面の向こうで大きなため息をついた。

『…まどかに誕生日プレゼント催促されたの。』

「あ、そうなんだ。」

なんだそんなことか。要求がエスカレートして喧嘩にでも発展したとかのパターンかな。

『まったくいい迷惑だよ。』

図星なのか、Aがすごく嫌そうに枕に突っ伏す。
どうやら今、ベッドの中にいるようだ。

「いいじゃん。二人きりの姉妹でしょ。」

『関係ないし。しかも推しのＤＶＤだよ？高いったらないよ。』

ＤＶＤ…。アイドルか何かのやつかな。
ふーん、まどかちゃんって俺以外にも推しがいるんだ。ま、小学生だし、それが普通だろう。

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