【尻尾】2 ☆ ページ45
「ちょっと見せてみて、私にも見えるはずだから。」
『あぁ、そっか!』
でもまずは確認だ。
羽生くんが携帯を固定し、少し距離をとって後ろを向く。するとお尻の少し上の部分に、ふわふわの尻尾がくっついているのが見えた。
あれはまさしく狐の尻尾…。
しかもそれだけじゃなく、耳まで一段と白くなっている。
これ、間違いなく白狐化してるのでは…?
「……。」
私が言葉を失っていると、羽生くんが振り向きながら、耳と同じで触れないんだよ!と両手を広げて力説する。
『A、助けてよ!』
「そんなこと言われても…。」
おそらく私には尻尾に触ることが出来るのだろう。
でもそれが一体何になるというのか。
そもそもトロントにいる羽生くんと日本にいる私では、会うことすら叶わないというのに。
『安倍晴明なんだから、ちょいちょいっと念じたら消えるんじゃねーの?!』
「そんなわけないでしょ。」
耳だってまだ消えてないのに。
『じゃあどうすりゃいいんだよ。このままじゃスケートに集中できねぇ。』
「でも生えてる感覚はないんだよね?」
耳と同様に考えたら何もないのと同じなのでは?
『そうだけど、ジャンプ跳んだりしたら、ちらちら視界に入って何か気になるじゃん!』
顔を悔しそうに歪めて、足で床をふんずけている。
昼間とはいえ、これは下の階の人に迷惑だ。
「そこは我慢するしか…。」
『つかさ、俺のことちゃんと心配してる?』
「してるよ。」
羽生くんが、ずいっと画面に顔を近付ける。
私のテンションが低いのは眠いからだ。
『ふーん…。あ、そうだ。Aちょっとこっち来れねぇ?』
こっち?
「こっちってどっち?」
『だからぁ、トロント。』
「へ?!」
トロントって、カナダ?!羽生くんお得意の軽い言い方に、思わず携帯を落としそうになる。
『ほんと不安なんだよ…。な、頼むよ〜。』
このとーり!と拝むようなポーズをされて困惑する私。
気持ちはわかるけど、さすがにそれは…。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時