【PA】3 ☆ ページ28
☆主人公サイド
「ほんっとにごめん。」
「ごめんじゃないし!」
羽生くんがテーブルに手をついて頭を下げている。
でもこれは当然だ。彼は私に嘘をついていたのだから。
「だって、そうでも言わなきゃAさんオッケーしてくんなかったでしょ。」
「それはそうだけど、でもあんまりだよ!」
私がこの数週間、このことでどれだけ悩んでいたか。
上目遣いにちらちらと様子をうかがう彼の仕草に、あまり良い印象を持てなくて責めの体勢に入る。
「だから謝ってんじゃん。」
挙句の果てに口を尖らせて、さも悪くないみたいに言って…!
「開き直ってる。ていうか、羽生くん私に何て言ったか覚えてる?」
「え、何が?」
「とぼけないで。どうだった?って聞いたら、普通って答えたんだよ?ふ、つ、う!」
いくら想像で物を言ったとしても、これは女子に対してあまりにも失礼極まりない発言だ。
「あ、言った。」
「そこは嘘でも、もうちょっと上手く言ってくれなきゃ!」
「……。」
「私がどんなに落ち込んだか知らないでしょ。そりゃ羽生くんは色々経験済みなんだろうけど、私は違うんだからね。」
こんなセリフ、らしくないとは分かっているのだけど、どうしても文句を言いたくて身振り手振りで力説する。
すると羽生くんが、ちょっと待った。と、いつものように右手を出して私を遮った。
この期に及んで一体何。また言い訳?と身構える。
「あ〜…いやぁ〜実は俺も経験済みなタイプじゃねぇんだわ…。」
「…へ?」
「だって俺、今まで誰とも付き合ったことねぇもん。」
「……。」
顔を赤くしつつ、尻すぼみになっていくセリフに唖然とする。
今まで誰とも付き合ったことがない…?う、嘘…これほどのイケメンが…。
「だから、ホテルでAさんの首舐めたとか、本当に自分が信じられなかったんだって。」
そう言って、ついにはそっぽを向いてしまった。
こ、これはとても意外な告白だ。
まさか羽生くんがそんなピュアな人だったなんて…。黒い発言が多いから、てっきりもう大人の階段を登っているのかと思ってた…。
「じゃあ私たち、あの日は何もなかったと思っていいのかな…。」
色んな情報が一気に出てきたけど、まとめるとそういうことでよさそうだ。
「たぶんそうじゃね?やったらそれなりの形跡が残るでしょ。」
形跡とはどういう…いや、詳しく聞くのはやめておこう。
「でも良かった〜…。」
一先ずほっと胸を撫で下ろす。まずい、嬉しくて泣きそう。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時