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【雨宿り】11 ★ ページ23

「ん、美味しい。」

「そうなの?ねぇ、俺も早く食べたい。」

そうなると、必然的にAさんの飴が俺に回ってくるわけで…。

「時々確信犯だよね。」

「そっかな。」

「とぼけても無駄だよ。」

そう言いつつ俺の口にも、はい。と飴を放り込んでくれた。

「あ、美味しいー。」

舌で転がすと、砂糖で出来たほんのり優しい甘さが口の中に広がる。

「ちっちゃいとき食べたみたいな味。」

「ほんと〜。」

思わず自分の頬に手をあてる。

…つか、このシチュエーション。
すっごくすっごく良い感じで、ちゅーするのに絶好の雰囲気だよな。

このまま顔を近づけて、ちょっと唇を合わせたらできちゃいそうなのに…。
くそー、風邪さえひいてなけりゃ!

「どうしたの?しかめっ面して。」

「へ?い、いや、別に…あっ!女の子が無事に帰れたかなって思ってたんだよ。」

あぶね。妄想してるのがばれたら厄介だ。
仕方がない。今日はもうちゅーは諦めて、少しでも一緒にいられる時間を楽しもう。

「あぁ、あの子ね。」

そして飴を食べながら、今日の出来事を思い出す流れになる。

「でも不思議な子だったよなー。」

「カルタ強かったしね。」

「それな。」

Aさんと同じくらい妖怪に詳しかった。

「どこの子か聞いておけば良かった。」

「何?友達にでもなるつもり?」

冗談で言ったのに、Aさんが、年の差が…。と真剣な表情で考え出す。

「でもまた一緒にやりたいな。」

「たかがカルタでしょ。大げさ。…あ!それより、初恋の人がちょうちん小僧って何?」

そうだ。カルタの最中、さらっとすごいことをカミングアウトされたんだ。

「え、そのままだけど?」

「…見たの?」

「見たっていうか…出会ったっていうか…。」

Aさんが言うには、子供の頃、一人でとんど祭りから帰る途中に、先立って夜道を照らしてくれたらしい。
その愛くるしい仕草に、乙女心を撃ち抜かれたそうだ。

「やっぱり!ちょっと優しくされたからって、ほいほい付いていかないで。ほんっとにAさんはガードがゆるいんだから。」

「子供の頃の話だよ?」

「それでも。またいつ現れないとも限らないでしょ。」

妖怪なんて年取らないだろうし。

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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時

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