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「でもさ、あのマスカレイドの衣装、うちの神社のお守りにそっくりじゃない?」

なかなか来ないルームサービスを待ちながら、花山さんが古いお守りを手にぽつりと呟く。

「あ、分かる?衣装さんに、赤と黒でってお願いしたんだよ。」

もう一度ファントムを演じると決まってから、俺のイメージは決まっていた。
仮縫いの段階でレザー素材がきたときは、どんぴしゃだと思ったのだが…。

「かっこいいよね。」

「でもあれちょう重いんだよ〜。」

「そうなの?軽々とジャンプを跳んでたように見えたのに。」

「競技用のと比べたら全然違うわ。おまけに暑くてさ〜。」

衣装さんに申し訳ないのだが、今現在、素材変更の再発注中だ。

「じゃあ転けたのって衣装のせい?」

「それは関係ない。フィナーレのルッツだって全く跳べなかったから、今日は完全に九尾の仕業。」

それでももう少し上手くあいつをあしらいたかった。

「ふーん。でも一応九尾は退治したし、次のショーは問題なく滑れそうだね。」

「本当にな〜。それだけは君に感謝する。」

神戸では、また今までみたいに何のしがらみもなくスケートが出来ることをかみしめて滑りたい。

「ねぇ、ちょっとその狐の耳触らせてよ。」

「え?」

唐突に俺の頭に生えた耳を指差しながら、花山さんが近寄ってくる。

「だんだん見慣れて、かわいくなってきちゃった。」

「よせよ。お前が触るとろくなことがない。」

「今度は尻尾が生えたりして?」

「やめろ!冗談でも言うな!」

これ以上身体におかしな変化が起きたらまじで困る!

「でも、最終的にはその耳をどうにかしなきゃならないんだよ?」

「……。」

そうなのだ。
九尾はいなくなったものの、このままずっと耳があるのも困る。

今はこれといった影響はないけど、耳のせいでいずれ良からぬことが起きないとも限らない。

「試しにさ、ちょっとだけ触りたい。」

「つか無理だって。俺でも触れないのに。」

見せつけるように頭に手をやるのだけど、本当に何もないのと同じなのだ。

「狐の気分になったりしない?」

「…どんなだよ。」

「無性に穴が掘りたくなるとか。」

「……。」

それやりだしたら人間じゃなくなるわ。

「おいで、狐さん。」

「からかってんの?」

花山さんの分際で生意気だなと視線で訴えながらも、気にせず側までくる彼女は、なかなか神経の図太いやつだ。

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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時

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