【夢の世界】8 ★ ページ19
★羽生サイド
「くしゅんっ!」
「Bless you.」
本番まであと5分。
ステージ裏で待機していると、なぜか突然くしゃみが出て外国人スケーターにお約束の突っ込みをされてしまった。
それにThank you.と返して笑い合いつつ、なんとなく公演後に会う友人のことを思い浮かべる。
花山さん、もう席に着いたかな。
西側のロングの一角にある関係者席は、スポンサーなどが座る用に設けられた席だ。
お互い顔見知りなわけでもないし、一人くらい女の子が混じってても誰も不信に思わないだろう。
それに電話では3階席って嘘ついたけど、思ったより良い場所で絶対びっくりしてんぞ。
あのほんわかした一生懸命な姿を見てると、何故だか分からないが、無性にからかいたくなるのだ。
我ながら悪趣味だなとは思うけど、他人にちょっかいを出すのは昔からの癖だから、今更な部分もある。
「つか、迷わずここまで来れたのかな。」
方向音痴は相変わらずだろうし…。まぁシャトルバス乗ったら自動的に着くからそこは問題ないか。
一人納得しつつ、その場で軽くジャンプをしてこれからの出番に備える。
さぁ、今日は俺の地元、東北での最終公演。
最初から最後まで、絶対に絶対にぜーったいに!完璧な演技でみんなに喜んでもらいたい。
開演時刻になり会場の照明が落とされて、期待に満ちた歓声が沸き上がると、スケーターたちの緊張も一気に高まってゆく。
「行くぞ…。」
そしてアナウンスと共に、物語の始まりを予感させるようなリズムが流れる。
その印象的なオープニングは毎回同じ曲で、もう振り付けも身体にしみついているから、安心して4回転トゥループに集中できる。
そして、次々とスケーターたちが入れ替わりでリンクへと出てゆく中、トリである俺はプルさんとほぼ同時にリンクインした。
競技とは違い、少し狭い銀盤にいきなりトップスピードで滑る俺は、プルさんの次に名前を呼ばれて、ショートサイドの隅ほぼギリギリでジャンプを跳んだ。
わぁ!!という一番大きな歓声を受け、完璧な4回転ジャンプを着氷すると、腕を高く掲げながらセンターへと移動して、他のスケーターたちを先導するように踊りまくる。
この瞬間がめちゃくちゃ気持ち良いのだ!
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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時