【世界一の君】9 ★ ページ9
「王子、来賓の方々が城下のホテルへ戻られますので、ご挨拶をお願いいたします。」
「あ、そうね。」
きっと眠りの国の関係者だろう。
正直、あの大応援団にはびっくりしたけど、最終的に昌磨が２位に食い込んで、試合を盛り上げてくれたことはとても嬉しい。
「皆さん大広間におられますのでお急ぎください。」
「はーい。」
待たせちゃ悪いから、少しでも早く行けるように、走って城内を移動した。
中庭を抜けて、大広間へ向かう途中、外は真っ暗だろうなと思っていたら、意外にも明るい光が自分を照らし、影を作っていた。
あれ？今日満月なんだ。
ふと立ち止まって夜空を見上げると、まんまるのお月さまが寒く澄んだ空気の影響で、よりくっきりと浮かび上がっていた。
「綺麗だな…。」
ほんの少しの間それを眺めていると、後ろから走って来たまっちーに追い付かれる。
「王子、お急ぎください。」
「わかってるよ。…あれ？」
再び走ろうとしたら、ふと中庭のベンチに人影が見えた気がして目を凝らす。
こんな寒い場所に人がいるなんて、何かの見間違いかなと思ったのだ。
しかし…。
「あれは…昌磨…？」
あのパーマっ毛のある後ろ頭は、間違いなく昌磨だ。しかももう一人座ってる。あれはたぶん…。
「隣の方は…宮原さまではないですか？」
「そうだわ。」
こんな寒い所で何をやっているのかなと思ってさらに見ていたら、不意に昌磨がさっとんの頭をぽんぽんとぶっきらぼうに撫でた。
そしてさっとんが腕で顔をぬぐって…。
……。
ひょっとしてさっとん、泣いてるのかな…。
そんな二人を前に、しばらく動けず見入ってしまう。
「宮原さんは今回、惜しくも表彰台に登れませんでした。」
「そうなの？！」
知らなかった…。
女子は男子より早い時間に試合があるのだが、まだ全ての試合を把握してなかったので、今初めて聞く結果に、ただただ驚く。
「今回の女子の試合では、月の国に表彰台を独占されましたからね。」
「まじか…。」
…さっとん、めちゃくちゃ悔しいだろうな。
今までずっとエースとして頑張ってきて、今回は他国との差を見せつけられた結果になったか。
「お声をかけますか？」
「いや、昌磨がいるから大丈夫。」
ここは自分の出る幕じゃない。
それにさっとんならまた表彰台に返り咲いてくれる。
俺は再び大広間へ向けて走り出した。
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鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが＾＾；羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか？いつか本人も、親になってほしいです＾＾ (2019年6月24日 17時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました！何度でも読んでください＾＾私も読みます！とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね！妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました！ (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても楽しく読ませていただきましたー！やっぱりゆづは王子だよね！(´ー｀*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました！(*´ `) (2019年6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね！ (2019年6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです＾＾あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが＾＾；また何か書ければいいなと思います！ (2019年6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2019年5月25日 9時
