【世界一の君】6 ★ ページ6
「さきほど大臣に聞いたのですが、まだ生まれるまで時間がかかりそうだということで…。」
「それは僕も聞きました。」
さっき待ち時間の合間にAの様子を尋ねたら、記者さんの言うことと同じ内容が返ってきた。
そもそもそんなに簡単には生まれないと以前からしーちゃんに言われていたので、心構えは出来ている。
「ご心配のことと思いますが、インタビューの方、宜しくお願いいたします。」
「あ、はい。」
物腰の柔らかそうな記者さんで少しほっとしつつ、椅子に深く腰かけると、早々に皇子の話題が来た。
「まず、お生まれの暁には、国民へのお披露目はいつごろになりますか。」
こうなると、自分としても実感が沸いてくるからとても緊張する。
「まだ具体的には決めてません。ただ、生まれたらお城から花火を上げるので。」
「あ、そうでしたね。」
これは昔からの習わしで、男なら一発、女なら二発花火を打ち上げて、国民に知らせることになっている。
これは夜中でも関係なくて、この世に誕生した瞬間に打ち上げるのだ。
「でも、お城のバルコニーから皆に見せるくらいはしてもいいかなと思ってます。」
「まぁ!それは大変良いアイデアですね。」
「遠くて表情までは見えないかもしれないけど。なるべく早くお城便りに肖像画も載せたいかなー。」
前髪に触れながら、あれもこれも…と、これからの動きを想像するのがとても楽しい。
「その際はぜひ新聞にもご提供下さいね。ではこれまでのAさまについて、何か特別変わった様子などあれば教えて欲しいのですが…。」
そしてここから本格的な取材になる。今回はスケートとは関係ない質問が多くなるだろうから少し戸惑う部分もあるけど、王族の未来に関わることなので真面目に答えるつもりだ。
「変わった様子か…。」
「特に今日はどのような感じでしたか。」
右頬に指で触れながら、何かしらあったかなと記憶をたどる。
つか今日は朝からAの寝顔しか見てないから、コミュニケーションがとれてない。
でもそんなプライベートなことを記者に言ってもいいのかどうか…。
「すごく…眠そうだったかな。」
「ふむふむ、他には?」
「他には…。」
……。
やべ、話が続かない。
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鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが^^;羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか?いつか本人も、親になってほしいです^^ (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました!何度でも読んでください^^私も読みます!とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね!妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました! (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても楽しく読ませていただきましたー!やっぱりゆづは王子だよね!(´ー`*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました!(*´ `) (2019年6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね! (2019年6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです^^あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが^^;また何か書ければいいなと思います! (2019年6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年5月25日 9時