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【伝わってない】6 ★ ページ37

「ん?属する…。」

いや待てよ…。それならば、この国に属して教えることも選択肢の一つとしてありなんじゃないか。
俺のコーチは無理でも、女子のコーチなら可能性は高いんじゃ…。

真凜だって環境を変えたいって言ってたし、プルさんのように個性的で新しい風を、この国に吹かせてみてもいいんじゃないだろうか。

「最近はイーグルからのアクセルを跳ばせたり、ダブルアクセルなんかも…」

「プルさん。」

俺が言葉を遮ったものだから、プルさんがきょとんとした表情になる。
でも構わず、思いの丈をぶつけるように早口で告げた。

「プルさん、この氷の国で女子のメインコーチやってくれませんか。」

「……。」

突然こんなことを言われてびっくりしているのか、プルさんのアイスブルーの瞳が見開かれる。
それをじっと見つめ返しつつも、俺はさらに言葉を続ける。

「そして二年経ったら、僕の息子のコーチを引き受けて欲しいです。」

流れでもう一つ依頼をするのも忘れない。

「本気で言ってるのか…。」

「本気も本気です。」

じっと目と目で本気の度合いを図る。

「なぜ自分で見ない?」

「僕はたぶん、自分の子供に本音でぶつかれないんじゃないかなって思うんです。」

スケートが好きだから、真剣になりすぎて嫌われるのが怖いのかもしれない。

「ふむ…。」

「それに、まだコーチとしての経験もほとんどないし、プルさんみたいにその子の才能を見抜く力だってまだ全然…。」

とにかく、選手としての目線だけで教えてしまいそうな不安が拭えないのだ。
我が子とはいえ、教え方が間違ってましたじゃ話にならない。

「コーチか…。」

「とりあえず今は女子だけのコーチでいいです。このまま月の国には負けたくないし、プルさんは絶対にこの国に必要な人だから。」

「……。」

「氷の国に、帰って来て欲しいんです。」

真剣な眼差しで告げると、プルさんが目を閉じた。
そして、ふっと息を吐いて、口許を上げる。

「その真っ直ぐな気持ちに、私はノーと言える精神を持ち合わせていないよ。」

「え、じゃあ…。」

「その想い、充分に伝わった。」

そうして差し出された手を取り、俺たちは固い握手を交わしたのだった。






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鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが^^;羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか?いつか本人も、親になってほしいです^^ (6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました!何度でも読んでください^^私も読みます!とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね!妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました! (6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても楽しく読ませていただきましたー!やっぱりゆづは王子だよね!(´ー`*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました!(*´ `) (6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね! (6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです^^あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが^^;また何か書ければいいなと思います! (6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2019年5月25日 9時

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