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【世界一の君】2 ★ ページ2

「なんなら来季5回転やっちゃう?」

「うーん、あれ思った以上に難しいよ?」

「練習してんのかよ!」

冗談か本気か分からない反応に、こりゃまじで来季の得点表に入ってそうだなと想像していると、いきなり横からタックルみたいなハグをされて思い切りよろける。

「ユヅルおめでとう!」

この人懐っこいのはもちろんハビだ。

「ハビー…苦しい。」

「ショーマくんもおめでとう!」

「ありがとうございます。」

そしてハグされたまま交わされる会話は、試合後なだけに自然とスケートのことになる。

「あ、ハビの演技ショートだけ見てたけど、良かったよね。」

「久しぶりの試合だったからどうなるかと思ったけど、ブライアンのアドバイスのおかげもあって、フリーではなんとか滑りきった感じかな。」

「そんなことない。ハビのサルコーはスケート界のレガシーだから。」

決して難しいジャンプだけが全てじゃない。
入り方だって流れだって、こだわればそれは武器になる。

「ありがとう。でも試合はもうこれで最後にするよ。ユヅル、誘ってくれてありがとう。」

ハビが謙遜しつつ、俺の頭をぐっと引き寄せて聞かされた言葉に一瞬思考が停止した。

でもなんとなくだけど、この試合が終わったら引退するんだろうなって、心のどこかで思っていた部分もあったので、それを本人の口から直接聞くことが出来て、今少し救われた気分でもある。

「そーだろーなって思ってたよ!」

ハビの背中を、皮肉を込めてばんと叩く。
本当は泣きそうだったけど、それでも、ありがとうと言ってもらえるのは、彼の中で納得して一区切り出来たからなんだろうな。

「引退か…。」

ふと、黙って聞いていた昌磨が遠い目をして呟いた。

「昌磨はまだまだ滑るでしょ。」

「滑るけど…。みんないなくなったら嫌だな。」

「ショーマくん。心配しなくても下からどんどん上がってくるさ。」

「そうだよ。それこそ4Aのコンビネーションとか跳ぶ選手が出てくるかもよ。」

「それゆづくんがやりそう。」

「ははは!」

ハビが真っ先に笑う。
いくらなんでもそれはねぇぞ。と突っ込んだら、表彰式の開始を告げるファンファーレが鳴った。

まだたくさんのお客さんが残ってくれている中、これから3位の選手から順番に表彰台へ呼ばれるのだ。

「ゆづくん、佳菜子ちゃんとのハグ。頑張ってね。」

ふと、佳菜がメダル授与をするのを知っているのか、早速昌磨が俺の二の腕にとん、と触れてからかってきた。

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鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが^^;羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか?いつか本人も、親になってほしいです^^ (6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました!何度でも読んでください^^私も読みます!とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね!妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました! (6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても楽しく読ませていただきましたー!やっぱりゆづは王子だよね!(´ー`*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました!(*´ `) (6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね! (6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです^^あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが^^;また何か書ければいいなと思います! (6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2019年5月25日 9時

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