【三番目の意味】3 ★ ページ25
「パパだよ？起きてるの？おーい。」
「中からはポコポコと反応があるのですが、外からはわからないかな。」
そっか〜。
声をかけてみるものの、相変わらず父親にとっては、まだまだつまらない時間が続くのか。
「あー早く会いたい。」
それでもせめて、愛情だけは人一倍注いでいるつもりで、お腹越しに優しく撫でてあげる。
「生まれたら一番に抱っこしてくださいね。」
「え、いいよ。Aが抱きなよ。」
さすがに初抱っこはAにさせてやりたい。
そんな親バカっぷりを妄想しつつにやにやしていると…。
「私は…三番目でいいです。」
三番目？
数字が一個飛んで思考が現実に引き戻される。
「え、じゃあ二番は？」
手で３を作った真ん中の指を、もう片方の指で触る。
「佳菜子さまに抱いていただこうかと…。」
「……。」
突然佳菜の名前が出てきて驚いている自分に、Aがさらに言葉を続けた。
「…正室さまであることを忘れてはなりませんし、形だけでも、この子の母になっていただきたいです。」
「A…。」
「佳菜子さまは、本当に頼りになる方です。」
頷きながら、噛みしめるように話すAに、自分もまたその意味を考える。
そうだ…。
Aの出産という大義で、俺たち三人の関係が崩れることなどあってはならない。
側室が正室をないがしろにしたり、上に立ったりすることは、たとえ本人にその気がなくても、世論に不安を与えるだけでなく、国の秩序を乱す可能性がある。
Aが世継ぎを生んでも、時として母は佳菜でなければならない場合もあるのだ。
王族というのは、理屈じゃなく、理不尽なことがたくさんある世界だからこそ、聡明でなければならない。
「…A、正室になりたいって思ったこと、ある？」
「え。」
「…王妃になりたい？」
なんとなく聞いてみたくて、穏やかな口調で尋ねると…。
「そんな！一度だってありませんし、私はただゆづさんのお側にいられるだけで、何も望みはありません…。」
おそらく本心なんだろうなと思えるような答えが返ってくる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - 心菜さん» お話しに触れていただいていありがとうございます！ちょこちょこ休憩的な話を挟んでしまうがゆえに、とても長くなってしまうという…。次移行なので、またよろしくお願いします！！私は神戸インだよ！！ (2019年4月23日 18時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» もうトロントへ帰ってそうですね＾＾でも乙女だったなあ〜。いろいろ乙女だった。今度はいつ会えるのでしょうか。ショーには出てくれるのでしょうか！あ〜仙台行きたい！ (2019年4月23日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 王女ちゃん1人でのお参りでも、国民の皆さんに喜んで貰えて良かった(^-^)色々応募しても何にも当たらない私ですが、1日乗車券は御用意頂けました。そしてFaoi幕張土日参加です (2019年4月22日 20時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ニュースで笑顔が見られましたね。束の間の実家滞在になるのかな。帰国している間にいろんなお仕事が詰まってそうですもんね。とりあえず、いい表情だったなと思いました。ここのところ情報チェックする余裕があまりなく、乗り遅れています。ゆづが元気ならそれでよし。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そんなに壮大な話にはならないんですけどね。ちょっと昌磨さんの話を書きたかっただけなのに、変な方向にいってしまって＾＾；これが終わったら試合です！ご本人はもう仙台についたかなー？！ (2019年4月18日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2019年3月18日 19時
