氷の国20

【心配】1　☆ ページ8

☆主人公サイド

閉じ込められてから１５分ほど経っただろうか。
私に抱きついたままずっと泣いていた少年が、やっと落ち着きを取り戻してくれて、大人しくなった。

「ぐすっ…。」

「大丈夫？」

さっきから声の聞こえる範囲で、何度も外と会話をしているので、不安な気持ちはいくらか無くなってはいるものの…。

「ちょっと寒いね…。」

春物のワンピース越しに感じる洞窟特有のひんやりとした空気が肌をさす。

「お姉ちゃん…。」

「なぁに？」

「僕ら…助かる…？」

涙を腕でぬぐいながら、少年が不安げに私を見つめる。

「勿論だよ。もうすぐ作業が本格的に始まるから、すぐに出られるよ。」

「……。」

今でさえ、人力で少しずつだけど土砂を取り除いてくれている音が聞こえる。
まっちーさんがいれば全てを迅速に処理してくれるのだということを信じて、私はなるべく不安にならないように頑張っている。

ここで取り乱しては、この少年だけでなく、赤ちゃんにも悪い影響が出るかもしれないから。

「大丈夫。」

自分自身に言い聞かせるように呟く。

それにこの畜光石のおかげで、今なお暗闇の恐怖を感じずにいることができる。
もしここが、ほぼ光の届かない真っ暗な空間だったら、きっと心が折れてしまっていただろう。

「くしゅん！」

ふと少年がくしゃみをしたので、また優しく肩をさする。

暖まるために身体を動かした方がいいかな。私はあまり激しい運動は出来ないけど、じっとしているよりかはましかもしれない。

せめて部屋のすみで肩寄せあえれば…。
そうだ、壁にくぼみでもあれば少しは寒さから守ってあげられるかもしれない。

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