【対立】6 ★ ページ33
「うん、わかった。また温室へ行って話してみる。」
「本当にお願いします。」
「それよりお腹の子供はどうかな…。」
隣同士に座っているのをいいことに、軽く触れてみる。自分の中では、今ニジンスキーよりこっちのが大事だから。
「あ、はい。問題ないかと。」
「まだまだちっちゃいんだろうなぁ…。ねぇ、食べ物の好みとか変わった？」
「うーん…。」
しばらく考えた後、普通です。と答えるA。
「気持ち悪くなったりしないの？」
「…まだないです。」
そしてさっきまでと違い、はにかむような笑顔で教えてくれる。「じゃあさ、ちょっとだけ癒されたい。いい？」
Aの首の後ろに手をまわして、ぐっと身体を密着型させる。
ここのところ、お腹の子供に負担かなって思うあまり、ほとんどAに触れてなかったのだ。
「ゆづさん？」
俺の名を呼ぶその口を優しく塞いで、髪を撫でる。
このまま全身に触れたいけど、さすがに今は自嘲しなきゃいけないから、ぎゅーっとハグだけして。
「……。」
「何て言うかな…幸せ。」
しつこいと思われるかもしれないけど、何度だって言う。
こんなにもいとおしいと思える人が、子供という大きな希望を運んできてくれることに、感謝しかないから。
「羽が…大きくなってます。」
「うん。」
それは自分でもわかっているので、後ろを見ずに返事をする。
俺の羽は今、ふわふわと宙をたゆたっているだろう。
それはまるで、Aを包み込む暖かなゆりかごのように。
「漆黒の…天使。」
Aが触れられない羽を、形だけ優しく撫でてくれる。
「二人だけの秘密だよ。」
おでこをコツンと合わせてお互いを感じて。
もう少しだけこのままでいたいから…。
太陽の国へ書く手紙のことは、また今度相談しよう。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 126人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - 智枝さん» ありがとうございます！！！！私はほぼ毎日よその小説を読み漁っているので、普通はたまに読むものなんですね〜。妄想は＾＾しかし全部のチケットを持っているとは…。おぬし何者！？私はFaoi参戦だから！ (2019年2月15日 19時) (
レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - 超絶久しぶりに来たああああ！進みすぎて追い付くまで時間が必要だぜ。お話の感想は読んでからしやす(笑)とりま、明日のせせん公式練習のチケ取りがんばる！ちなみにせせんはオールイベントチケで全日観戦しやすv(＾ω＾)v (2019年2月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» けんかじゃないので、すぐに元通りになりそうですね＾＾はやく来季の試合を書かねばならないのですが、まだそこまでたどり着かないという…。四大陸の結果もちらほら入ってますね！みんながんばー！ (2019年2月8日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 王子の感情は羽に現れるのですね。王女にはバレバレ。視察が終わったら、もう帰りの馬車で仲直りできそうな気がしますが、どうでしょうか？明日から四大陸選手権。女子たち頑張れ！あと、友野くんに期待です。刑事くんも自分に負けるな！昌磨は強気で優勝だ！ (2019年2月8日 1時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そうですね！行ったり来たりしてもらいます！前回は羽生さんがペットを飼ったらこんな感じかなあ〜って書きました＾＾けっこうドSに攻めそうじゃないですか？着々と主従関係ができてます！ (2019年2月4日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2019年1月5日 13時
