氷の国19

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「これからじゃない？いいなー、あたしも子供だけは欲しいな。」

「その前に相手だね。」

美姫さんの独り言のような呟きに佳菜子さまが突っ込むのだけど、美姫さんのような素敵な女性には、相手などすぐに現れそうなのに…と不思議に思う。

面食いなのかもと勝手に想像していると、不意に佳菜子さまがゆづ王子の話題に触れた。

「でもさ、皇子が生まれたらお城も賑やかになるだろうねー。ねぇA、ゆづは最近どんな感じなの？」

少し前のめりに尋ねられて、近頃の王子さまの様子を思い出す。
元々寝食はいつも一緒だったけど、皇子を身籠ってからというもの、寝る前には必ず私のお腹に手をあててお休みになるのだ。

そんなゆづ王子が、私は可愛くてたまらないのだけど、この事は一応本人の名誉のために伏せておこう。

「そうですね、毎日名前を考えてます。」

「早っ！」

無難に答えたつもりだけど、また佳菜子さまから電光石火のごとく突っ込みが入る。

「どうせスケートっぽい名前なんじゃない？サルコーとかループとかさ。」

「それやったら佳菜本気で怒るよ。」

美姫さんの冗談に佳菜子さまが、ルッツもアクセルも却下！と付け加える。
さすがに私的にもそれは困る…かな。

「でも、羽にちなんだ名前にしたいとおっしゃってました。」

特に女の子が生まれた場合は是非にとおっしゃっていた。

「名字も羽あるのに？」

「センスないー。いっそのことAがつけた方がいいんじゃない？」

でも何故かお二人に心配されてしまう。

「私…ですか？」

「そうそう、ゆづに決めさせるとダッサイ名前になっちゃうよ。」

「……。」

そ、そうなのかな。採用されるかどうかは別にして、私も一応考えておいた方がいいのかな…。
今度いくつか候補を聞いてから考えよう。

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