風邪 ページ10
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あと少しで今日の仕事も終わりを迎えようとしている頃、体が少し重い気がする。そしてスタジオは寒く感じて上着を羽織る。
今日は朝から動いていたから、少し疲れているのかな、そんなことを思いながら最後の仕事を終えて、帰宅途中、明らかにだるい気持ちに、さすがの私でもこれは熱があるかもしれない、なんてことに気付く。
あー、家に風邪薬あったかな、でもどこかに寄ってから帰る気力ないなあ、一刻も早く横になりたい……
たどり着いた自宅の玄関のドアを開けて、リビングへ進んで、あーもう、だめかも、立ってられない、、
「……Aおかえり、A?………っ、!」
『………わ、、え、?』
抱えられた先には良平さんがいて。あれ、なんでだろう、ずっといたのかな、そんなことを思っても言葉は出てこなくて、額に手のひらが触れる。つめた、、
「……この熱で仕事してきたの?」
『あー、はは、良平さんうつるから、かえって…?』
「この状態で置いて帰れるわけないでしょ。」
『だいじょうぶ、』
「立てないくせに?」
『……んん、』
「ほら、ベッド行くよ」
体がふわっと浮いた感覚になって、ベットまで運ばれて、寝かされる。帰ってもらわなきゃ、とか、服着替えなきゃ、とか思うのに、横になってしまえば動けなくて。
「メイク落としどこ?」
『…………そこ、』
「あ、これか。目瞑って」
『…………冷たい、きもちい、』
「それはよかった(笑)はい、できた」
『………ありがと、』
「着替えよっか、起き上がれる?」
『…………ん、』
ベットから両手を伸ばせば、そのまま抱えてくれて、起こしてベットに座らせてくれる。やさしい……
「はい、バンザイ」
『…………、はい、』
「ふは、かわいー(笑)はい、脱いでー、これ着てー」
『………あとは自分でやる………わっ、』
「うおっ、ばか、急に立ち上がらないの」
『………んんーっ、!』
「はいはい、座ったまま自分でやる?」
『…………ん、』
「ほんとよく仕事できたね」
『…………………』
「あー、そんな顔しないで。がんばったねー、よしよし」
『………子供扱い、』
「ふふっ、ほら着替えた?横になってて、何か作ってくる」
『………いらない』
「だめ。薬飲めないでしょ」
『んーーーー』
「ちょっと待ってて」
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作者名:シカク | 作成日時:2021年12月1日 20時