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のぶくんに差し入れをしたのが、1ヶ月前…だっけ?なんて、日々の流れに任せていれば、記憶も曖昧になりつつ。あの時から比べれば、倍近くの仕事量が今週来週に詰まっていて、スケジュールを見るだけで目が回りそう。
この前の、のぶくんと同じ状態だな、なんて苦笑いをしつつ、残りの仕事もがんばろ、なんて思っていれば、楽屋にのぶくんが入ってきた。
「おつかれ〜」
『おつかれ、今日も収録よろしくお願いします〜』
「こちらこそ、ふふ」
『なーんで笑ってんの(笑)』
「忙しい?」
『うーん、まあ(笑)』
「顔が疲れてる」
『声が元気だからいいのー』
「あのね、なんと、」
『なんと?』
「頑張ってるおとちゃんにプレゼントが」
『ん?なになに?』
楽しそうな、のぶくんが小さめの紙袋から取り出したのは、私の大好きなお店のプリン。のぶくんは、私が目まぐるしく動いているタイミングで、いつもこれをくれる。
『あーーーっ!いつもの!プリン!』
「どうぞー?」
『えー、今食べる。』
「ふふ、俺もおとちゃんみたいに、これじゃない差し入れにしようかなあ」
『やだ、これがいい。あと、のぶくんくれるタイミングがほんとにすごい。』
「気が滅入っちゃいそうだなーって時でしょ」
『そう!よく分かるね』
「なんだろうねー?でも、おとちゃんもそんなタイミングでいつもくれるよ」
『ふふ、何なの私たち』
「ほんとにね」
『ん、たべる?』
「いいの?あー、」
スプーンを差し出せば、口を開けるから入れてあげる。あーやっぱうまー、なんて言っている姿を見ればこちらも自然と笑ってしまう。
やっぱり私たちは、お互いで支え合って日々を過ごしているのかもしれない、なんて。
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作者名:シカク | 作成日時:2021年12月1日 20時