釣り合いたい【NJ】 (ページ37)

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結局、朝はAさんの顔は見ることが出来ないまま授業がはじまる時間になった。

あれから降り出した雨は、中々の勢いで校舎の窓をばちばちと刺激してて

なんならゴロゴロと、雷が鳴り出していた。

厚い、黒い雲に覆われている空は、すっかり暗くなっていて、まるで夕方みたいだ。

「キャー！雷ー！」

「やばいよねこの雨〜、私迎えに来てもらおっと」

女子たちのそんな会話を片耳で聞いていた。

確かに、この大雨の中帰るのは危険かもしれない。

キーンコーン、と、最後の授業を終える鐘が鳴って
あっという間に帰る時間。

『失礼します』

放課後の職員室に響く、透き通った声。

椅子に座っていた俺は、その声に誰よりも先に振り返った。

立っていたのはAさん。

NJ「どうしたんだ？」

『や、ちょっと、傘を借りれないかなと』

ちらちらと、外を見ながらそう呟いた。

ああ、朝は雨が降ってなかったから忘れたんだ。

NJ「生憎、置き傘は全部貸し出されてるから。俺ので良ければ貸すよ」

『や！それは…先生が濡れちゃう』

NJ「先生は車だから」

そう言うと、Aさんはおもむろに自分のカバンから紙とペン取り出して

近くのデスクにサラサラと文字を書いた。

その文章を見て、目を見開いて
Aさんを見ると

あどけない顔で、微笑んでいた。