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るす、というのはスペイン語で『光』という意味らしく、アルファベットに直すと『luz』となる。


それを家庭教師から聞いた時は自分にハンドルネームがついたような気がしてかっこよくてすぐに覚えた。


「るす?それ本名?苗字は?」

「え、えーっと……君は?」


当たり前だがこれが本当に本名なのか疑っているらしくじとーっと疑いの目を向けながら「望月」と答えた。


「るすって外国の名前みたい」

「ま、まぁハーフやからね」

「ハーフ!?ほんとに!?」


勿論嘘だ。両親も親戚も皆純日本人だが今はそんなのどうでもいい。


だって彼女とはもう二度と会うことなど無いのだから。


今日が非日常だっただけ。明日からはまたいつもの日常に戻る。そしたら直ぐに忘れる。この公園のことも。彼女のことも。



ーー今日が楽しい日だったってことも。直ぐに忘れるから。


「じゃあ私そろそろ帰るね」

彼女は公園に備え付けの時計をチラリ、と見た。

そうだ、これでいいんだ。これぐらい呆気ない方が、きっといいんだ。


しかし彼女は何を思ったのか俺の方を振り返って微笑んだ。夕日の光が彼女を照らしていて、素直に綺麗だな、って思った。



「るすくん、明日も一緒にお花探ししてくれる?」



ーー明日?


俺は今日限りのことだと思っていた。けれど君にとってはどうやら違かったようで。


思えば、こうやって誰かと明日のことを約束したことなんてなかった。

勿論、家のこととかでならあったけれど、そういうのじゃなくて、お花探しだなんてどうでもいいことに未来を見出したことなんて、一度もない。


周囲は俺に子供らしさなど、求めていなかった。必要とされたのは、どんな時でも冷静な判断を下せる聡明さ、そしてそれに見合うだけの実力だけ。


だからこそ彼女からのこの誘いはひどく子供らしくて、年相応で、俺が何よりも憧れていたものだった。


彼女は何処にでもいるようなただの子供で。でも彼女の前でなら俺も一緒に“普通”になれるのなら、俺は



「…しょうがないなぁ」



そう言った時の彼女のあの弾けるような笑みは、未だに記憶に鮮明に焼きついている。

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時雨(プロフ) - ぽんずさん» コメント&通知登録ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです、これからも頑張りますね! (7月15日 21時) (レス) id: 27a105a2bf (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 読み応えある。通知登録しました!更新楽しみにしてます! (7月12日 10時) (レス) id: 98acc9f874 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - さくさん» わっありがとうございます〜!!嬉しいです、頑張ります!! (6月7日 20時) (レス) id: 9626d45726 (このIDを非表示/違反報告)
さく - この作品好きです!更新楽しみに待ってます…! (6月6日 16時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 彼方一ノ瀬さん» わぁ!ありがとうございますー!嬉しいです頑張りますねー!!よろしければこれからも読んでやってください!! (4月30日 15時) (レス) id: 54c8766224 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2018年11月8日 0時

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