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大丈夫だよと笑って席から立ったものの、風鈴のみんなの視線はわたしに集まっていた。
「…Aさん、無理しちゃだめですよ、」
『うん、ありがとう楡井くん』
楡井くんの声は明らかに震えていて、やっぱタイマン受けるべきじゃなかったか??と少し後悔。
『わたしはやる気だよ』と言いながら梅宮さんと柊さんを見て笑えば、2人は昨日と同じように小さなため息をついて笑ってくれた。
杉下は変わらず眉間にシワを寄せたままだけどね。
「…怪我、すんなよ」
「桜君、素直に“心配です”って言えばいいのに」
「あ゛ーッもうテメェ黙ってろ!!」
蘇枋くんの言葉で顔が真っ赤になった桜くんに『心配してくれたんだ?』とニヤニヤして返せば「…うるせ」と言って目を逸らされてしまった。
「でも…」と蘇枋くんが言葉を続ける。
「きっとオレたち全員同じことを思ってます。
勝ち負けより、Aさんの方が大切なんです」
だから桜君の言った通り、怪我はしないでください
と優しく困ったように笑って言う蘇枋くん。
…なんだこの子は。
良い子すぎる蘇枋くんに感動。
そんなセリフ言われたらときめいちゃうじゃん…
返事はせずに ふふ、と笑ってステージへ上がる。
“うん”って言ってあげたいところだけど、怪我ゼロで勝てるかって聞かれたら怪しいもん。
もちろん勝つ気ではいるけどね。
「逃げなかったんだな。やるじゃねぇの」
『後輩の前くらいカッコつけさせてよね』
「はっ、口は達者なのな」
じゃ、いくぜと言って初手から顔面を殴りに来た。
1年間、梅宮さんたちボウフウリンを間近で見てきて、そしてさっきは杉下、蘇枋くん、柊さんの喧嘩を目の前で見届けて。
何も学んでないわけないでしょーが…!
「ぅお、ッ?!、」
前に直線的に突き出した相手の手首を横から掴み、思いっきり捻る。
体の向きを変えられたことでバランスを崩した相手の肩を床へ押すと同時に、そのまま肩を台にして前宙した。
ドシン!と大きな音を立てて相手は倒れた。
やっぱり、体格が大きいだけあって重いな。
単純にわたしが殴ったり蹴ったりしても、きっとアイツには大して効かないだろう。
「へっ…意外とやるのな」
すぐにむくりと起き上がり、「こりゃ遊び甲斐がありそうだ」と呟いた相手を睨む。
負ける気なんてサラサラないんだっての。
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時雨。(プロフ) - るしなさん» わーーーありがとうございます!!書き方たくさん試行錯誤してるのでうれしいです( ; ; )♡ (10月27日 19時) (
レス) id: 750e46a124 (このIDを非表示/違反報告)
るしな(プロフ) - 素晴らしい作品に出会ってしまったのでコメントせずにはいられない!!すごく私好みのお話で、文章の書き方もお上手でとても読みやすいです!!更新楽しみにしてます! (10月26日 22時) (
レス) @page17 id: a2e86ee27e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨。 | 作成日時:2025年10月3日 18時


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