進むも地獄退くも地獄 ページ14
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しかし、この後の展開はますます地獄だった。この時ほど、自らの詰めの甘さを悔やんだことはない。
佐久間さんが去って2人になった病室。
翔太にせがまれて寄り添ううち、張っていた気が緩んだ俺は、睡魔に負けてベッドに沈んでいた。
しかし、気持ちよく夢の世界に誘われていた俺の意識は、一つの声によって一気に現実に引き戻されたのだ。
『涼太、大丈夫？！』
キンキンと響く声の主を悟って、まずいと思った時にはもう遅かった。
決して鉢合わせないように、早めに翔太を帰すつもりだったのに。
「母さん、あの、」
『え…ねえ何で？何で翔太がここにいるの？』
nb「ん…涼太…？」
同じく母の声で目を覚ましたらしい翔太は、しばらく事態を認識出来ず、寝ぼけ半分の虚な目で俺を見つめていた。
しかし、やがて俺の視線の先にいる人物に気付くと、みるみるうちに青ざめた。
nb「…帰る」
『ちょっと待ちなさい！』
とっさに逃げ出そうとした翔太の腕を、母が掴む。
『ちゃんと説明しなさい。どうしてお前がここにいるの？！
涼太もお前の居場所は知らないって言ってたのにどうして…まさか、涼太まで私に嘘をついてたの？』
nb「違います…！涼太は本当に知らなかったんです。俺が勝手に決めたことで…今回は、あの、涼太が事故にあった、って聞いて、共通の友達が、一応、連絡くれただけで」
あくまで俺を庇い、悪者にならないようにと気遣う翔太。しかし、正直言い訳は辿々しくて、嘘をついているのは丸わかりだった。
というかそもそも、母には「俺が翔太に出ていくことを勧めた」と言って誤魔化したのに、これでは完全に矛盾している。
それなのに、母は気付かないのか、それとも翔太の言葉を真実だと思い込みたいのか、問い詰めることもせずにそれを受け入れてしまうのだった。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。大好きだなんて、嬉しいお言葉…すごく元気が出ます。私自身この後どうなるかわかっていないのですが（笑）、9人の行く末を最後まで見届けて頂ければ幸いです。 (2020年7月4日 20時) (
レス) id: 593619ab54 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - こんにちわ。いつも更新を楽しみに待ってるただのファンです。まさかの不穏な空気にめちゃくちゃドキドキしてます。こんな引き込まれるお話を書けるなんて凄いです。大好きです。どうかみんなが幸せになれますように、と願いながらこれからもお話楽しみにしてます！ (2020年7月3日 20時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月26日 3時
