離れられない ページ44
kj side
2人のやり取りを聞きながら、俺はずっと2人に感じていた違和感がみるみる膨らんでいくのを感じていた。
たった数年でも離れて暮らすという選択肢は、2人とも全く頭にないようだった。それが俺にはどうも信じられなかったのだ。
「なあ、一時的に別々に暮らしたとしても、大人になって再会して、2人で夢を目指すんじゃあかんの？」
fk「そうだよね。そうすれば生き返っても問題なさそうじゃん」
即座に同意してくれた深澤さんをはじめ、周りのみんなの反応を見ても、俺の問いは至極当然のものだったと思う。
しかし渡辺さんは、その問いの意味すらわからないとでも言いたげな目でこちらを見た。
そしてこう言ったのだ。
nb「だって、そしたら俺、生きてる意味ないでしょ？」
「何でそうなるん？！」
dt「…」
渡辺さんの発したそれは、俺たちにとってあまりに突飛な内容だった。軽くパニックを起こした俺は、思わず強い調子で尋ねる。
一方の宮舘さんは、何か考え込むように黙ったままだった。
渡辺さんは、考えを言語化するのに少し時間を要したようだったが、やがてゆっくりと語り出した。
nb「俺は、あの家で涼太を守ってたんだ。俺が殴られることで、その分涼太はきちんとした暮らしが出来る。あの家はそうやってバランスを保ってたんだ。
だから、むしろ酷い目に遭うことこそが、俺の存在意義だった」
dt「翔太、それは違う…」
nb「違わないよ。だって俺、最後には母親に忘れられた子だったし。涼太だけが、俺の生きる意味を作ってくれてたんだ。
それに、俺にとって涼太は、もう1人の自分みたいなもんなんだよね、多分。涼太が普通に生活できていれば俺も満足だったし、涼太が母親に何かしてもらえるたびに、俺も嬉しかった。だからお前のこと嫌いにならなかった。
逆に、涼太が下手に俺を庇って、2人して虐待の餌食になるのだけは避けたかった。だってそうなったら、どこにも救いがないでしょ？」
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わかめ(プロフ) - y_さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると励みになります。引き続き頑張りますのでよろしくお願いします。 (2020年5月28日 1時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
y_(プロフ) - 作り込まれた世界観でとても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2020年5月27日 18時) (レス) id: 80f4b74590 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ふわふわさん» コメントありがとうございます。気に入っていただけて嬉しいです。席順は時計回りにfk→dt→kj→nb→mg→iw→ab→sk→ruになります。お話のキーになることはない予定ですが、一応この世界に来た順という裏設定になってます。引き続きよろしくお願いします。 (2020年5月24日 8時) (レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - お話のテイストが個人的にとても好きです。それぞれの出来事が複雑に絡み合っていく所に、どんどん引き込まれてしまいます…一つ気になったのでお聞きしたいのですが、9人はどういう順番で座っているんでしょうか？もし答えにくい質問でしたらすみません、、、 (2020年5月24日 3時) (レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - まるめさん» コメントありがとうございます。まさか一気読みしていただけるとは…！まだまだ至らぬ作者ではありますが、更新頑張りますので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年5月22日 7時) (レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年5月18日 0時
