死後の世界で出会った僕たちは2

世界を変えたくて ページ17

nb side


fk「そう言われてみれば、考えたことなかったかも…」
iw「もしそうなったら、俺も佐久間さんも、それから阿部さんも、普通の生活が出来るってこと…？」

突如もたらされた希望の光に、2人は戸惑いながらも目黒さんに熱い眼差しを向ける。

全くこの人は、どこまでも柔軟というか、アイディア力が高いというか…
阿部さんとかラウールくんみたいに論理の矛盾を突く鋭さがある訳じゃなさそうだけど、実はこういう突拍子もないことを言い出せるやつが一番怖いんだ。
俺の経験上、これはまず間違いない。

事件の当事者ではない俺は、どこか遠巻きに皆の様子を眺めながら、そんなことを考えていた。


sk「そりゃそうなったら最高だとは思うけど、でも、そんなこと俺たちに出来る訳…」
そう言いかけた佐久間さんは、ハッと何かに気づいた様子で隣の彼を見た。

mg「…そう。阿部さん、貴方にならそれが出来るかもしれないって思うんです」


ab「え、ちょっと待ってよ。事件を止めるって？この俺が？」
mg「生き返って、お兄さんとの関係を修復するんです。それが、貴方のためでもあるんじゃないですか？」
ab「そりゃそうだけど…そんな簡単に言わないでよ…」

一気に追い込まれた阿部さんは、途端に自信なさげに縮こまる。

mg「貴方だって、自分で言ってたじゃないですか、お兄さんを追い詰めた責任がない訳じゃないって。
その責任の大小は別として、貴方のせいでもあるって点においては全員一致でしょ。
だったら、それくらい頑張ってもらってもいいんじゃないですか」

うわ、目黒さんもまたエグいこと言うな…
阿部さんの言い分を逆手にとって、反論の余地をなくして。
なかなか出来ることじゃないと思うけれど、彼はそういうことが意図せず出来てしまう人なのだろうか。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す