赤×桃 ページ25
桃「…しげ」
赤「…こ…たき…?」
俺が声をかけると、しげは一瞬びっくりしたけど、ゆっくりこっちを向いた。
桃「しげはなんで泣いてるん…」
赤「…小瀧には関係ないやろ」
桃「関係ある。…ずっと探してた」
赤「…会いたない…って言うたやんか」
桃「鬱陶しくてごめん…けどやっぱ諦められへんって」
赤「なんでなん…諦めてや…」
なんでかなんて俺やって分からんよ。
けどしげがおらんとなにもかも上手くいかへんねん。
桃「ごめん…」
赤「…謝らんといて」
桃「しげがいなくなってから毎日がつまらん…ほんまにもう…戻られへんの…?」
しげの体は、前よりもあざが増えていて、明らかに痩せ細っていた。
そんなしげを守りたくて、抱きしめたくて触れようとした手を抑えた。
桃「俺にはしげに触れる資格ないやんな…」
しげは一瞬顔を歪めた。
それはなんでなん?
まだ俺を好きでいてくれてるん?
俺に触れてほしいって思ってくれてるん?
分からん。しげが分からんよ。
ひとつひとつの行動が、俺の胸を締め付ける。
桃「しげ、好きやで。」
俺はしげの前に立って、伝えた。
赤「そんな真っ直ぐ伝えんといてや…」
桃「でも…俺が諦めることでしげが楽になれるんやったら…今すぐ諦めるから」
しげが楽になるんやったら俺はもうしげに関わらない。
誰にも傷つけられずに幸せになれるんやったら、俺は諦める。
これが俺が出した答え。
でも、
赤「…そんなん…嫌や…」
こいつは俺の決意さえも揺るがせる。
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作者名:・み・ | 作成日時:2019年5月22日 12時