ドッキリ大作戦 ページ38
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(side ORANGE)
レッスン室、響く靴音、カウントの手拍子。
音楽番組の収録が間近に迫ってる。
ドラマの撮影が立て込んでて、まとまって練習出来んかったAはこの最終確認の時間で詰め込むことになってて。
もう振りが入ってる状態のメンバーと一緒に踊りながら、真剣な表情で鏡を前に動きを身体に落とし込んでいくんやけど。
けど、ね。
音楽番組、っていうのがまずフェイクで。
そんで別のロケが押してるから本番ギリギリに到着しますっていうていでレッスン室におらん俺は、別室で絶賛モニタリング中。
モニター3台いろんな角度で、皆の様子をこそっと拝見してます。
姫さんが忙しくて振り合わせの時間さえ取りづらかったって言うのはホンマの事やから、今回はそれを利用してちょっとしたドッキリを。
「…あれ、この振り変わってる?」
神「…一昨日に変更ってメールしたはずやけど、」
「…ごめん、確認してたつもりやけど漏れてたかも」
重「…遅れてる分あんのに、確認くらいちゃんとせえよ」
仕掛け人の主軸は、モンチとしげ。
基本の振りとして伝えてたものと一部だけ変更したのをAには伝えずに、本番近い状態で失敗を問い詰めたらどんな反応するかって、そういう。
険悪ドッキリ、みたいなことなんやけど。
…要するに、もしかしたら凹ませちゃうかもなっていう内容やから、のんちゃんと崇裕とか甘やかし組は到底向いてなくて。
いつも振り付けを相談しあってるモンチと、姫さんのこと一番わかってるしげが今回適任ちゃうかなって。
流星とか淳太くんとかは、いっそ黙ってる方が怖い時あるからさ。
「…ごめん」
神「…もう1回しよか」
重「俺らもう振り入れ終わってるんやから、はよ覚えて撮影の準備させてくれや」
「…、」
思ってない、しげも皆も、そんなこと微塵も思ってないで。
多分ほんまに本番近かったら全員が真剣に振りの確認してるはずやし、スケジュールぱんぱんの姫さんが覚えるのを急かすような事言うはずないんやけど。
…でもさ、こういうドッキリの時ってなんでか、信じてまうよな。
普段と違うことなんて分かりそうなもんやのに、切羽詰まってるから不安煽られて分からんくなったりさ。
言い方だって、余計にキツく感じたりするし。
頼む泣かんといて、って願いも虚しく、レッスン室に仕掛けられた3台のカメラには瞳を潤ませて俯く姫さんが映ってた。
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亜由 - 楽しく読まさせて頂いてます。イブとクリスマスのお話が読みたいです。イブはシゲとクリスマスはメンバーと一緒のお話。 (2022年12月23日 16時) (レス) id: 056f326efc (このIDを非表示/違反報告)
竜胆(プロフ) - 亜由さん» 亜由さん、コメントありがとうございます。読んで頂けて嬉しいです、丁度本日書いていたので書き上げる活力になりました。ありがとうございます、それとお待たせしたようですみません。またお時間のある際に覗きに来て頂けると喜びます。楽しんで頂けますと幸いです。 (2022年12月20日 21時) (レス) id: 4b185b5ed0 (このIDを非表示/違反報告)
亜由 - 遅くにすみません。小説読みました。白と赤の日常のお話が読みたいです。 (2022年12月20日 3時) (レス) id: 056f326efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竜胆 | 作成日時:2022年11月17日 18時