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special sweet…os(2) ページ48

形を整えたクッキー生地をオーブンに入れ、そばに椅子を置いて焼き上がっていくのをぼーっと眺める。

女の子が考えてても、か。
そんなしょっちゅうじゃないけど、やっぱり会えば期待してしまう。
それに、キスはしたいなっていつも思う。
思うけど中々自分からはできなくて、求めている時に彼はしてくれなくて、もどかしくなる。

今だって、私から離れたオスマンはソファに座って本を読んでいる。

「…はぁ」

こんな話、友達にできないよ。
恥ずかしいし変な子って思われたくないし、普通が分からないから話しようもない。
でも、話したとしても行動するかは自分次第。

だったら……。



「…マンちゃん」

ん、あかん。
クッキー出来上がるの待ってたら寝てもうてた。
Aちゃんの甘いバニラの香りと可愛い声に目を覚ますと、俺を見下ろす彼女がおった。
手には出来上がったスノーボールクッキー。

「…ん、あれ?そのクッキーなんか色変じゃない?」

「うん、何種類か作ってて。これはマンちゃんイメージでね、抹茶味」

あ、やからそんな色してんねや。
てか可愛い事するなぁ、俺の気も知らへんで。
嫌われたくないけど、好きやから触りたいしキスしたいしめっちゃ愛したい。
その加減がわからんから、本当はもっと教えてほしいんやけどなぁ。

「…ねぇ、マンちゃん?」

「ん?」

少しずつ、頬が薄桃色から薄紅色に変わっていく。
抹茶色のスノーボールクッキーを、ふっくらとした唇に近づける仕草が扇状的で、今すぐ押し倒してやりたい。
誘ってんの?

「…味見、して?」

「…どういう意味?」

意地悪するつもりやないけど、たまには来てほしい。
どうしてほしいか言われたい。
そして彼女が勇気を出して何かを伝えようとしてるなら、俺は待ちたい。

空いた手を握り、少しだけこちらに引く。
大丈夫、俺はAちゃんのどんな気持ちも姿も受け入れんで?

「……嫌わない?」

「嫌わへんよ、言うてくれた方が嬉しいよ」

「…クッキー、このまま食べて?」

「ふはっ、可愛いお願い事やな」

引き寄せるとストンと俺の膝に座る彼女の頰に右手で触れて、左手で顎をすくってクッキーごと甘い唇を頬張る。

くしゃりと潰れたクッキーは、俺とAちゃんの口の中で溶け合い甘さが浸透していく。
次第に積極的になるAちゃんを俺の膝に跨らせるように座らせて、もっと深く口付ける。

「甘いな」

「離しちゃやだ」

「素直な子、好きやで」

可愛い姿、もっと見せてや。

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作者名:芝谷 | 作成日時:2019年11月6日 19時

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