sha…くせになる甘さ(後編) ページ34
頰っぺにキスされた後、シャオちゃんは私の耳を食んで舐めて小さく笑う。
「俺、Aの妬いた顔見んの好きやねん。許してな?」
囁き声で言われ、また耳に甘い刺激が走る。
背筋がぞくりとし、シャオちゃんに凭れるように抱きつくと腰を抱かれて首元にキスをされた。
ずるい、そんな事言われると許してしまう。
あんなに悲しかったのに。
「上手に聞き流すんも、やり返すのもできひんもんな?」
甘ったるく低い声が胸と背筋をくすぐる。
「どうせ"あたしなんか可愛くないもん、可愛くなくてごめんね"とか拗ねてんねやろ?同じ土俵に上がれるわけないやん」
意地悪、シャオちゃんの意地悪。
刺さる言葉とは裏腹に、唇は私の体を優しく撫でる。
私はただ言葉にも唇にも抗えず、彼に身を任せるだけ。
まるで、おもちゃみたい。
「あいつらただ飾っとるだやん、腹ん中どんだけ黒いかわからへんよ?それを外面だけ綺麗に可愛く上手く着飾って誤魔化して、見せるのほんま上手いなって話やん」
ぽうっと火照った顔を、シャオちゃんの両手が包む。
虚げに彼を見れば、大好きな優しい笑顔。
「Aはほんまに、中も外も可愛えな。とくに俺の事好きすぎんのほんまに可愛え。めっちゃ好きやねんで、笑った顔も怒った顔も。やって俺が好きやから色んな顔見せてくれるんやもんな」
「…シャオちゃん」
「ふふ、めっちゃ溶けてるやん。そんな良かったん?まだ口にしてへんのに」
あぁ、こういう意地悪なとこも含めて全部好き。
シャオちゃんの言う通り、私は彼が好きすぎる。
だから些細な事に妬いて怒って拗ねて、そしてご褒美みたいな愛撫に喜んでしまう。
「素直に言うてみ?」
「…シャオちゃんが好き」
「他には?」
「…よそ見しないで、ほしい」
「ふふ、A可愛え…ほんまめっちゃ好きっ」
シャオちゃんは子どものように顔をくしゃくしゃにして笑って、私をぎゅうっと強く抱きしめると、今度は大人の顔でキスをする。
深く混ざり合うように、私もシャオちゃんの手に手を重ね、心臓を締め付けられながら何度もキスをする。
キッチンから寝室へ、寝室からリビングのソファへ場所を移して甘い余韻に浸りながらテレビを観る。
「この女優さん美人だよね」
「美人やけど、性格ブスそうやな」
「怖っ」
「蹴落とし合ってそうやん、Aはこんなんちゃうやん」
「……」
「どしたん、顔伏せて。お腹痛い?」
「なんか複雑…美人になりたい」
「そんままでおって?」
…意地悪。
893人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:芝谷 | 作成日時:2019年11月6日 19時