【夢短編集②】 (ページ22)

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ci…心配症彼女(親知らず) ページ22

昨日の夜から食欲がない。
と言うよりお腹は減ってるけど食べたくない。
理由は自分で分かってる、でもバレたくない奴が目の前で私の顔をめっちゃ見ている。
バレたら笑われる。

「…おかしい」

「おかしくありません」

「いーや、お前なんか変やぞ?」

「…チーノ、早く食べな?冷めるよ?」

「Aは食べへんの?」

凄い素敵な笑顔ですね、真っ黒だね。
もうやだ、逃げたい。

理由は一つ、昨日の昼くらいから歯が痛いのだ。
検診に行ったばかりなので虫歯じゃない。
その時に言われた、恐怖の親知らず様である。

「…はぁ」

「なんや、溜め息ついて。ほんまどうしたん?」

「何もないです」

「知らんぞ～、俺もう聞いたらんからな」

チーノの家で、せっかくチーノが作ってくれたご飯。
私の大好きなハンバーグ。食べたい。
大好物が目の前にあるのに歯が痛くて食べれないとか、我ながら虚しすぎる。

「…っう」

「え、泣いてんの?どうしたん、やっぱ具合悪いんやろ?」

「…ハンバーグ食べたいぃ」

「食べたらええやん、泣くほど?」

「歯が痛いの!!」

「げ、虫歯か?歯ぁ磨かへんからやぞ!」

「磨いてるもん!!」

「ふはははは、お前はどこの女児やねん!!」

爆笑されたのでデコピンしておいた。
あの両手でする方のやつを思いっきりしておいた、ほぼ八つ当たり。

「検診で抜いた方がええって言われたん?抜いたら?」

「やだ怖い無理麻酔死ぬ血が出る死ぬコロサレル」

「A、歯医者は殺し屋ちゃうぞ?」

「やだぁぁぁ!!」

「知らへんぞ、お前一生俺の手作りハンバーグ食べられへんからな?!」

「それもやだぁぁ…」

「ハンバーグを置きなさい」

「歯医者怖い、やだ抜きたくない、でも食べれないのもやだぁ…」

没収されたハンバーグを睨み、体育座りをして蹲って泣く。
女児にもなりたくなる。
親知らずなんて、抜くのめっちゃ痛いってイメージしかないもん。
痛いのはやだ、一人で行きたくない。

「休み明け予約し?怖いんやったら俺が車で連れてって、待っとったるから」

「…中まで来て」

「ええ大人が何言うてん、車ん中で待っとったるから頑張り?その後たくさん甘やかしたる」

「…ハンバーグね?」

「好きやなぁ、ハンバーグ。わかったから、ちゃんと行くんやで?」

やや乱暴に、ガシガシと頭を撫でられる。

後日、親知らずを抜きに半ば強制的に歯医者に連れてかれた。
頑張って(先生が)抜いた後。
チーノは約束通り、たくさん甘やかしてくれた。